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♪Someday my prince will come…「いつか王子様が来てくれる」と白雪姫が歌ったのは1937年。それから70年以上にわたり、ディズニーの長編アニメーションからはさまざまなプリンセスが生まれてきました。前述の白雪姫を始め、『眠れる森の美女』のオーロラ姫、『リトル・マーメイド』のアリエル、『アラジン』のジャスミン等々。そして2014年、ディズニー長編アニメ53作目にして、まったく新しいタイプのプリンセスが登場します。
王家の美しい姉妹、エルサとアナ。触れるものを凍らせる“禁断の力”を持つ姉エルサは、妹アナを傷つけることを恐れ、幼い頃から自分の世界に閉じこもって暮らしていた。やがて美しく成長したエルサは新女王として戴冠式に臨むが、力を制御できずに真夏の王国を冬に変えてしまう。城から逃亡した彼女は、生まれて初めて禁断の力を思うがまま解き放ち、雪と氷を自由自在に操り、冬の王国を作り出す。愛する者を守るため本当の自分を隠して生きてきたエルサは、“雪の女王”となることで生きる喜びと自由を手に入れたのだ。一方、妹のアナはエルサと王国を救うため、雪山の奥深くへと旅に出る…
ディズニー・プリンセスの描かれ方に変化が見え始めたのは、2009年の『プリンセスと魔法のキス』あたりからでしょうか。このとき製作総指揮を務めたジョン・ラセターは、インタビューで「主人公の夢は王子様と結婚することではない」と強調しています。
その傾向は翌年の『塔の上のラプンツェル』でより明確になりました。本作でヒロインの相手役となるフリンは王子様ではなく泥棒、それも自信家でナルシストというなんともイヤな奴。でもその彼と出会ったことから、ラプンツェルは塔の上から外の世界へと踏み出し、夢に向かって歩き出します。それまでは隠していた、自らの内なる力を使って。
その「ヒロインが秘めている内なる力」こそが、今回の『アナと雪の女王』の主題です。エルサの持つ「触れたものを凍らせてしまう力」は決して自分が望んだものでも制御できるものでもなく、勝手に発動してしまう悪魔の力。要は『キャリー』や『炎の少女チャーリー』といった、スティーヴン・キング原作によるSFホラーの世界です。その力ゆえに引きこもりの生活を続けていたエルサは戴冠式をきっかけに城の外へ踏み出すことになるのですが、これまでのヒロインと違い、彼女はその力を「自分のために」解き放つ道を選びます。誰の助けも借りず、自分ひとりの力で氷の宮殿を作り出しながら、♪Let it go~と高らかに歌い上げるエルサ。彼女には「白馬に乗った王子様」はもちろん、「外界へと誘う泥棒との出会い」すら必要ありません。エルサは自らの意志と力で、自分だけの氷の宮殿を築き上げるのです。これぞ新世紀のディズニー・プリンセス。
とは言え本作には、ちゃんとハンスという名前の王子様も登場します。それも文字通り白馬に乗って(!)。そしてもう一人、姉を探すアナを助ける野性的な青年、クリストフ。ヒロイン二人にヒーロー二人が揃った時点で「ははぁ、これは収まるべきところに収まるな」と先読みしたのも束の間、物語は思いがけない展開を…その先はぜひご自分の目でお確かめください。
そしてディズニー・アニメの魅力と言えばもうひとつ、本編を彩る名曲の数々。アカデミー歌曲賞を受賞した主題歌“Let it go”はもちろん、序盤にアナとエルサが掛け合いで歌う“For the First Time in Forever”も、歌詞さえ知っていれば一緒に歌いたくなるほどの楽しさ(実際アメリカではスクリーンに歌詞のテロップが出て観客が一緒に歌う“Sing Along Version”も公開されているとか。日本でもやらないかなー)。まさにミュージカル映画の王道のような展開です。
毎年開催されている、ディズニー作品をテーマにしたアイス・ショー『ワールド・オン・アイス』でも、何年か後に『アナと雪の女王』が取り上げられるのは確実でしょう。構成がミュージカルそのものですし、なんたって下は最初っから氷なんだから舞台装置もいらない(笑)
日本語吹替え版の素晴らしさについては、既に御存知の方も多いと思います。松たか子さんは歌手としても活動されていて、声優としての実力も2006年のアニメ『ブレイブ ストーリー』で実証済みですが、今回のエルサ役は本当に名演。セリフも歌も、オリジナル版のイディナ・メンゼルに引けを取りません。そしてアナ役の神田彩也加さん。親譲り(?)の歌唱力はもちろん、声の演技も完璧で、後で聞いたら一時期は声優を目指されていたとか。なるほどねぇ。
公開されるや全米はもちろん世界中で大ヒット、日本でも公開された最初の週末だけで10億円に迫る興行収入となった『アナと雪の女王』。字幕版を観れば吹替え版を、吹替え版を観れば字幕版を観たくなる、底知れない魅力に満ちた作品です。いつものディズニーアニメだと思って見逃すと損しますよ。映画館でエルサと一緒に(♪レリゴーのとこだけでも)歌っちゃいましょう!
実は『アナ~』と同じ話だけどこちらは悲劇。
長かった! 大雪もあった!! 寒~い冬からの解放、春です。春が来ました。そして、宿題のない春休み。なんて素晴らしいのでしょう。学生生活から、早30年が経ちました(泣)。しかし、そんな呑気な悩みは小さいものです。今も、この地球上では多くの国や地域で紛争が起きています。
1作品目は、ご家族・ご友人とご覧いただいて、少しでも皆様の“考える機会”としていただけたらと思う作品、1997年に公開された
です。
1990年代、東ヨーロッパには民主化の嵐が吹き荒れ、ユーゴスラビアでも民族・地域ごとの独立運動と、国家解体が進む中、1991年に独立したのが、ボスニア・ヘルツェゴビナ、首都はタイトルにもなっているサラエボです。
銃弾が飛び交うサラエボで取材を続けるジャーナリストのマイケル。道には死体が転がり、TVクルーも銃弾に身を潜める毎日。絶望的な状況に苦しむ人々の姿に心を痛めるマイケルだが、西欧諸国はほとんど関心を持たない状況であった。そんな中、孤児院のレポートをするマイケルたちは、エミラという少女に出会い、ある決心をするのである。その行為は意外な展開を呼ぶことになる。そうして観る者をサラエボのド真ん中に放り込むのです。
声のキャストは、マイケル(スティーヴン・ディレイン)に千田光男さん、同じジャーナリストのジミー(ウディ・ハレルソン)に大塚芳忠さん、ジェーン(ケリー・フォックス)に佐々木優子さん、ニーナ(マリサ・トメイ)に沢海陽子さんらが重厚にアテられています。
2作品目は、ガラッと変わって、1994年に公開された
縁あって、烏滸がましくも吉田さん、長谷川さんのような業界の重鎮と稿を並べさせて頂いてますが、俺がこの四半世紀の間に直接制作に関わったふきカエは、数えてみればたかだか90本程度。おそらく某局のエージェントFさんより1ケタ、吉田Pより2ケタ少ないでしょう。
それでも90本やってれば、「木曜洋画劇場」お得意のアクション系から、ミュージカル(『オリバー!』『王様と私』)、ドキュメンタリー(『ボウリング・フォー・コロンバイン』)まで、たいていのジャンルは経験できたのですが、なぜか一度も携わったことのないジャンルがあります・・・それは「ウエスタン」。
クエンティン・タランティーノ監督の『ジャンゴ 繋がれざる者』のような変化球以外、めっきり新作も作られなくなってしまった西部劇(『ジャンゴ~』は“南部劇”ですが)。テレビも今ではたまに字幕版が放送される程度になってしまいましたが、かつてはゴールデンタイムの王道ジャンルの一つでした。
20年以上前に「木曜洋画」で、名作『シェーン』を放送した時のことが忘れられません。
当時、俺は関わっていませんでしたが、大先輩のプロデューサー(「マイアミ・バイス」などを手掛けた人です)が、VTRを何度も観ながら考え込んでいました。
馬に乗って去って行くシェーン(アラン・ラッド)を少年が見送る、あまりにも有名なラストシーン。先輩Pは悩んだ挙句、「シェーン! カムバーック!」という少年の叫び声を、2ヶ国語放送の主・副音声共に、原音の英語にしたのです。
一部だけを原音で放送するという行為は、ふきカエにとっては敗北とも言えます。が、「不朽の名作」であることを踏まえたメタ的な視点で番組を考えれば、これも映画ファンの視聴者のための小粋な演出ではなかったかと。
さすがにここまで大胆なことはしませんでしたが、後に「20世紀名作シネマ」を担当した際は、この時のことを大いに意識して番組作りに臨みました(以前このコラムで紹介した『カサブランカ』で“字幕版の名セリフ”にこだわったのも、その一環です)。
前置きが長くなりましたが、名画劇場の精神を受け継ぐ番組、BSジャパン「シネマクラッシュ 金曜名画座」には、ウエスタンもしっかり登場します。
4月11日(金)に放送するのは、巨匠ハワード・ホークス監督の豪快・痛快作『リオ・ブラボー』。
ジョン・ウェインのふきカエと言えば、ムラマツ隊長こと小林昭二さんもおなじみですが、今回の保安官(ジョン・ウェイン)は納谷悟朗さん。酔いどれガンマン(ディーン・マーティン)は羽佐間道夫さん、歌う美青年(リッキー・ネルソン)は古谷徹さんです。
この他、既に一度放送済みですが、クリント・イーストウッドの『荒野の用心棒』、ジュリアーノ・ジェンマの『星空の用心棒』といったマカロニウエスタンも近日再放送予定。どうぞお楽しみに!
とうとう西部劇の新録の機会にはめぐり逢えませんでしたが、担当した中にウエスタン的なものはなかったかな、と考えてみたら・・・ありましたよ、それっぽいのが。ジョン・カーペンター監督の『ヴァンパイア/最期の聖戦』。
なぜか荒野のど真ん中に巣食うヴァンパイア集団を、一本釣りでアジトから引きずり出し、太陽光に晒して退治する、超アナログなヴァンパイア・ハンターの死闘を描くアクションホラー。どこがウエスタンやねん、とお思いでしょうが、ぜひ今回放送する『リオ・ブラボー』と見比べてみてください。これはまさにハワード・ホークスの世界ですよ。
ちなみに「木曜洋画」版のふきカエは、ジェームズ・ウッズの野沢那智さんと、ダニエル・ボールドウィンの玄田哲章さんのコンビが最高でした。つい先日訃報が伝えられたマクシミリアン・シェルのふきカエは、家弓家正さん。機会があればチェックしてください。