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…東映セントラルあたりが製作した邦画だったらきっとこんなタイトルがついていたであろう、お馴染みのシリーズ第5弾。西海岸に行っただけで違和感を感じてしまうほどのニューヨーカー、マクレーン刑事(第一作の冒頭、ロスの空港で人目もはばからず抱きあうカップルに「…カリフォルニア!」と吐き捨ててましたね)が、ましてや言葉も通じないロシアなんぞに行っちゃったらどうなるか。シリーズのファンにはわかりますよね。そう、話してわからない奴はブン殴る!
”世界一ツイてない男”ジョン・マクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は、長らく疎遠だった息子のジャック(ジェイ・コートニー)がロシア滞在中に警察沙汰を起こした為、身元引受人としてモスクワを訪れる。しかし久々の再会も束の間、裁判所の爆破に巻き込まれ、その後も武装テロ集団の執拗な攻撃を受ける羽目に。異国での極限状況の中、マクレーン親子は決死の覚悟で巨悪に立ち向かう…
シリーズ第一作『ダイ・ハード』が日本で公開されたのは1989年。うわ、もう24年前ですよ。主演のブルース・ウィリスも監督のジョン・マクティアナンも当時はさしたる実績もなく、正直なところ見るまではさほど期待していなかったのですが…。日劇で行われたマスコミ向けの披露試写。上映終了後、少々のことでは驚かないはずのスレた業界人たちから万雷の拍手が沸き起こったのです。
そう、『ダイ・ハード』はべらぼうに面白い大傑作でした。冒頭の「緊張をほぐすには裸足になれ」というアドバイスから始まって、妻ホリーのオフィスに飾ってある家族の写真、黒人警官が過去に負った心の傷に至るまで、周到に張り巡らされた伏線がサスペンスを盛り上げ、派手な銃撃戦や爆発が彩りを添える。その爆発にしても無闇にドッカンドッカンやるんじゃなくて、それぞれにいちいち必然的な理由がある、という念の入れよう。『ダイ・ハード』は、その後のアクション映画のトレンドを変えてしまったのです。
そんな一作目の大ヒットを受けて作られた『ダイ・ハード2』。舞台は空港へと移り、広くなったと思いきや実はこの空港、豪雪で機能停止寸前という相変わらずの閉塞状況。今回も緻密な脚本に支えられた派手なアクションの連発に、世界中の観客が喝采を送りました。個人的には(マカロニ・ウェスタンのファンとして)、麻薬王エスペランザを演じたフランコ・ネロの雄姿(?)も感涙モノでしたが。
そして三作目の『ダイ・ハード3』。さすがに寒いのは辛くなったのか、舞台は真夏のニューヨーク…いや、それ逆に暑すぎるでしょ!爆弾魔サイモンに翻弄され、街中を駆け回るマクレーン。皆さんがNYに行く機会があったら、是非事前にこの作品を見ておくことをお薦めします。それから現地へ行くと、うわー、ここを車で走り抜けるのはそら無茶ですわー、てなことが分かって非常に楽しいです。
さて次は『ダイ・ハード4』…と思いきや何で『4.0』なの、というのはIT時代におけるサイバー・テロがテーマだからですね。ハイテクを駆使する頭脳犯を相手に、ローテクの権化のようなマクレーンが徒手空拳で立ち向かう!成り行きでコンビを組むことになったハッカーの若造とアナログ親父マクレーンとの全く噛み合わない掛け合いが、バディ・ムービーとしても楽しめる一遍。
そして今回の第五弾。ビル→空港→マンハッタン島→アメリカ全土、と舞台のスケールがどんどん大きくなって、ついに国内では収まらず海を越えてロシアへ。おイタをした馬鹿息子を引き取るだけのはずが、そこはマクレーンですから当然ナゾの武装集団とすれ違いざまに肩がぶつかり、「どこ見て歩いとんじゃボルシチ!口の聞き方教えたろかハラショー!」と因縁をつけられるわけです。そしてたちまち起こる剣戟の響き…じゃなくて銃弾と爆発の雨あられ。マクレーン父子の運命やいかに!
このシリーズは、これまで幾度と無く放送・ビデオ化され、主役を吹替えた声優も多彩な顔ぶれが揃っています。ビデオソフト版の樋浦勉、テレ朝版の野沢那智、フジテレビ版の村野武範、どれも違う持ち味で、それぞれにファンがついているという状態。最も人口に膾炙しているのは野沢版と思われますが、樋浦ウィリスの微妙なおっさん臭さ(す、すいません)も、やたら愚痴っぽいマクレーン刑事のキャラにピッタリ…と思っているファンは自分だけではないようで、前回ソフト化された『ダイ・ハード4.0』の吹替え音声は劇場公開された野沢版に加え、樋浦版も新たに作成して両方収録という豪華仕様になっていました。
そして今回の『ダイ・ハード/ラスト・デイ』でも、劇場で吹替え版が同時公開されます。野沢那智氏亡き後、主役のジョン・マクレーンを誰が担当するのかは、業界内でも注目されていました。オーディションの結果マクレーン役に決まったのは、『CSI:ニューヨーク』のマック・テイラー役でも知られる中村秀利氏。那智さんが主宰していた劇団薔薇座の出身で、いわば弟子筋に当たります。そして息子のジャックを吹替えるのは、舞台俳優としても活躍中の野沢聡氏。そう、那智さんの御子息です。
生前に那智さんから、こんな話を伺いました。「昔、まだ若手だった玄田(哲章氏)や鈴置(洋考氏)と同じ現場に、お目付け役として僕も呼ばれるんですよ。それはとても有難いんだけど、彼らもまだ駆け出しだから、台詞が危なっかしくて聞いてらんない(笑)これが劇団の稽古場だったら『お前その芝居違うだろ!』って怒鳴るんだけど、こっちも役者として来てるスタジオでそれはできないでしょ。もう気が気じゃなくて、自分の台詞をトチったりして(笑)」…そう語る那智さんは、とても暖かい笑顔でした。
そんな那智さんの代表作とも言える『ダイ・ハード』の新作で、かつて自分が演じたマクレーンを弟子の中村氏が、その息子ジャックを実の息子である聡さんが演じるというのは、なにか運命的なものを感じますよね。今回の吹替え版、きっと那智さんは空の上から嬉しそうに見てると思います。口では「いやー聞いてらんないよー」なんて言いながら。
みんなまとめてかかって来やがれいっ!
さっ、さっ…寒い!!! どうしてこんなに寒いのか! 東京、いや日本ってこんなに寒かったっけ!? 寄る年波のせい!? とにかく身に染みるこの冬。皆様いかがお過ごしでしょうか?
では1作目、2011年12月に公開された
をご紹介します。
原作はベルギーの漫画家、エルジェの「タンタンの冒険旅行」で、映画はスティーヴン・スピルバーグ氏が監督を務め、彼にとって初のアニメーション映画であり、また初の3D映画となりました。
物語は、少年記者タンタンと愛犬スノーウィが、蚤の市で古い帆船ユニコーン号を見つけ、購入したことから始まる。だがそれは、タンタンを襲う災難の始まりでもあった。次々と怪しい男に「この船に関わるな」「譲ってほしい」と追い回され、盗難に遭い、ついには誘拐されてしまう。こうしてタンタンは、ユニコーン号の持つ秘密に巻き込まれていくのである。
そんな冒険物語を彩るふきカエのキャストは、タンタンを浪川大輔さん、ユニコーン号を狙う謎の男サッカリンを森田順平さん、タンタンと共にユニコーン号の秘密に挑むハドック船長をチョーさん。インターポールの刑事デュポンを大川透さん、それに瓜二つのデュボンを浦山迅さんなどが演じられています。是非ご家族揃っておこたで温まりながらご覧ください。
2作目は、1988年公開の
です。1980年代後半、アメリカが元気だった頃のM&Aブームを背景にしたロマコメです。冒頭のマンハッタンの空撮は、ニューヨークに憧れていた私にとって、夢の映像でした。おかげさまでその夢が叶い、3度ほどニューヨークの地へ降り立つことができました。その時の感動を込め紹介します。
ウォール街にある投資銀行のM&A部内で働く秘書テスは、仕事に役立つ知識を得るため、日々努力していた。
そんなある日、上司のキャサリンがスキー旅行中に骨折してしまった。テスはチャンスとばかりに、数々のアイディアを生かし、あろうことかキャサリンの愛人ジャックと共に合併話を進め、奔走する。しかして、そのラストは!?
ふきカエのキャストは、テス(メラニー・グリフィス)に土井美加さん、キャサリン(シガニー・ウィーヴァー)に沢田敏子さん、ジャック(ハリソン・フォード)に堀勝之祐さん、秘書仲間のシンシア(ジョーン・キューザック)に小宮和枝さんなどがあてられています。働く女性たちに是非観ていただきたい!! オススメの1本です!!
既にあちこちで紹介されていると思いますが、2013年最初の稿をこのお知らせから始められるのは大いなる幸せ。
2月5日(火)夜9時~ BSジャパンにて、「火曜ロードショー☆」スペシャル版として、超高層ビル火災を描いたパニックスペクタクルの金字塔、『タワーリング・インフェルノ』をお送りします。かつて「20世紀名作シネマ」でやり残したこの超大作を、21世紀初の新録吹替え版で、3時間ノーカット一挙放送!(もちろん無料です。)
この企画の発端は、実はかれこれ8年以上前にさかのぼります。
以前もふれましたが、やはり「20世紀名作シネマ」の忘れ物だった『JAWS ジョーズ』を「木曜洋画劇場」で、羽佐間道夫さんのロイ・シャイダーでふきカエ新録を決行することに。演出は大ベテランの小林守夫さんにお願いしました。
ところが、別の現場でご一緒していたディレクターの高橋剛さんにすごい剣幕で食ってかかられました。曰く、『ジョーズ』を新録するのは長年の夢だった。なぜ自分にやらせない? 自分が演出すべきだったんだ!…と。
あまりの「圧」に、悪いことしたなあ、という気分になって、じゃあ代わりに何かやりたいのあります?…とその場しのぎで(笑)聞いたところ、いつかやってみたい、と高橋Dが挙げたタイトルが『タワーリング・インフェルノ』なのでした。
その後、俺は「木曜洋画」を離れ、やがて番組自体も終了してしまったのですが、人事の荒波に揉まれて漂着したBSジャパンで映画編成を担当するようになったところで、何と『タワーリング・インフェルノ』を放送することに。かつて「木曜洋画」でタッグを組んでいたテレビ東京のプロデューサー、渡邉君の「…作りましょうか?」の一言で、かつての記憶が鮮やかに蘇り、高橋Dとの8年越しの約束を果たそうと思い立った、というわけです。
…なんて書くとまるで脅迫されたみたいですが(笑)
高橋剛さんは、テレビ東京的には『刑事ナッシュ・ブリッジス』などのTVシリーズ、俺も以前このコラムでご紹介した『ドランク・モンキー/酔拳』や『ボウリング・フォー・コロンバイン』、故・広川太一郎さんとの最初で最後のお仕事になった『スパイ・ゲーム』などで何度も演出をお願いして、その切れ味のいい仕事を全面的に信頼してましたから、今回も安心しておまかせしました。
俺から高橋Dにお願いしたのは一言だけ…「テレビ版」を作って下さい、ということでした。今回は本編ノーカットですが、それでも「吹替え洋画番組」にはそれなりの演出があります。以心伝心、高橋Dは「カッコいいの作りますよ!」と太鼓判を押してくれました。
最近は、テレビ放送時にカットされた部分を追加収録して全長版を作る方法論もありますが、かつて『タワーリング・インフェルノ』のふきカエに携わられた声優陣はその多くが既に鬼籍に入られてますし(宮部昭夫さん、川合伸旺さん、井上孝雄さん、城達也さん、小林恭治さん、平井道子さん、そして野沢那智さん、小林修さん、谷口節さんまで…合掌)、ここはきっぱりキャストを一新して「21世紀バージョン」を作ることにしました。
ただし翻訳は新訳ではなく、初のふきカエだった「ゴールデン洋画劇場」制作時のもの(翻訳は飯嶋永昭さん)を、念入りにアレンジして使用。時代性や古風なところを活かしつつ、現在の視聴者にも聴きやすい台本になったと思います(ちなみに、かつてこの「ゴールデン洋画劇場」版を演出されたのが、小林守夫さんでした)。
かくして完成したBSジャパン版『タワーリング・インフェルノ』のキャストは、本編でオールスターが演じた多彩なキャラクターのイメージに合うよう、高橋Dが選び抜いた顔ぶれ。
主役の設計士ロバーツ(ポール・ニューマン)は、てらそままさきさん。消防隊長オハラハン(スティーブ・マックィーン)は、小山力也さんです。力也さんと言えば最近はすっかり“ジャック・バウアー”ですが、あらためて観ると、時間と闘いつつ危険に身を投じるダイハードなオハラハン隊長は、ジャック・バウアーの原点と言えるのかも。
その他、主なキャストの名前は番組サイトでご覧頂けますが、とにかく皆さんのはまりっぷりを、ぜひオンエアでご確認ください! 2月5日(火)の番組の終了後にこのコラムを読まれる方もいらっしゃると思いますが、(日時は未定ですが)再放送も予定しておりますので。
なお、高橋剛さんはその後『ジョーズ』を新録する夢も叶えられ、現在発売中のDVD・ブルーレイに収録されています。こちらのロイ・シャイダーは、故・谷口節さん。高橋D渾身のふきカエを、併せてご覧くださいませ。
[作品画像はAmazon.co.jpより]