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古き良き昭和の時代、映画館には「二本立て」というシステムがありました。邦画は基本的に全て二本立てで、『日本沈没』(草彅君じゃなくて藤岡弘のほう)のような大作でも、井上順主演の『グアム島珍道中』と同時上映だったりしたのです。
そのシステムのおかげで、『ノストラダムスの大予言』を見に行った小学生男子が併映の『ルパン三世 念力珍作戦』(実写版!)に出会ってしまい、その後の人生を踏み外すといった事態も招いていたのですが、それはまた別の話。
都市部と違い集客が難しい地方では、洋画でも二本立て興行が主流でした。料金は一本分なので、こりゃお得。『オルカ』の併映が『カプリコン1』と来た日にゃ、電車賃かけて千葉あたりまで見に行っても元が取れる勘定でした。しかし時代と共に映画館も変わり、もう仮面ライダーやプリキュアの劇場版ですら一本立て興行が当たり前に。ううう、今どきの小学生は可哀想だなあ。
でも最近のシネコンでは、一箇所で何本もの作品が上映されています。それらをうまくハシゴして、自主的に二本立て興行にしちゃいましょう。料金は二本分かかりますが、シネコンには各種割引デーもありますからね。そんな「勝手に二本立て」におすすめしたいのが今月の『テイラー・キッチュ特集』。「あー、渋谷の『rest』のランチがサクサクで美味しいよね〜」ってそれはキッシュ。「最近、岡本太郎の物真似とかやってくんないよね〜」ってそれは松尾貴史(a.k.a.キッチュ)!
1881年のニューヨーク。愛する妻と娘を失い失意の日々を送っていた大富豪ジョン・カーター(テイラー・キッチュ)が、謎の失踪を遂げる。彼が甥のエドガー・ライス・バローズに残した一冊の日記には、想像を絶する “体験談” が記されていた。生きる意味を見失っていたジョン・カーターは、ある不思議な現象によって高度な文明を持つ惑星“バルスーム”に迷い込んでいたのだ。バルスームの民たちと心を通わせるジョン・カーターだったが、この星は全宇宙を支配しつつある“マタイ・シャン”の攻撃によって滅亡の危機に瀕していた…
1982年生まれの三十歳。TVシリーズや『ウルヴァリン』での脇役を経て、テイラー・キッチュが初のタイトル・ロールを演じた『ジョン・カーター』が、「勝手に二本立て」の一本目です。
原作はSFファンならお馴染み『火星シリーズ』の一作目である『火星のプリンセス』。古き良き時代の古典SF活劇を、最新のSFXと3D技術で映画化したSF超大作です。
見た目はほとんどターザンのような(原作者が同じですからね)マッチョな主人公が、美貌の姫君を守って異形のモンスターたちと闘う。異世界SFにおける魅力のひとつである、アンバランスな文明発達-飛行艇が飛び回るテクノロジーと石器時代の生活様式が混在する世界-が、緻密な美術設計と最新のSFXで構築されています。このあたりはピクサー・アニメ出身の監督、アンドリュー・スタントン(『トイ・ストーリー』『ウォーリー』など)の得意技といえるでしょう。
『スター・ウォーズ』を始め様々な作品に影響を与えてきた、SFの始祖ともいえる壮大な活劇ロマンを3D・IMAXの大画面で堪能できるとは、なんと良い時代になったものでありましょうや。
ハワイ沖で、日米をはじめ世界各国の自衛艦が集結した大規模な軍事演習が行われるなか、沖合に正体不明の巨大な物体が出現する。それは遥か宇宙から飛来したエイリアンの母船だった。激しい攻撃を仕掛けてくるエイリアン軍団に対し、演習に参加していた米海軍新人将校アレックス・ホッパー(テイラー・キッチュ)、自衛艦の指揮官ナガタ(浅野忠信)の率いる海の精鋭たちが立ち向かう。彼らは地球を壊滅の危機から救うことができるだろうか?
二本目は現代へ飛んで、迫力のミリタリー・アクション。エイリアン対アメリカ軍の戦いを描いた作品は多々ありますが、空軍が主体だった『インデペンデンス・デイ』、海兵隊が活躍した『世界侵略:ロサンゼルス決戦』に続き、今回の戦場は太平洋。となれば、合衆国海軍精鋭部隊の出番です。こちらでテイラー・キッチュが演じるのは若き海軍将校アレックス・ホッパー。駆逐艦USSジョン・ポール・ジョーンズを指揮してエイリアンに立ち向かいます。
そして今回特筆すべきなのが、我らが海上自衛隊の参戦。アレックスと共に戦う護衛艦艦長ナガタを、浅野忠信が演じています。世界最強を公言できる米軍に対し、日本の自衛隊は諸般の事情であんまり強くちゃいけないことになっています。US版のGODZILLAが戦闘機から逃げ回った末にミサイル一発で倒されたのに対し、元祖日本のゴジラに自衛隊の火力はまーず歯が立たない。「本当はもっと強いのに!」と歯噛みしていた諸兄は、堂々とエイリアンに戦いを挑む自衛官の雄姿に感涙を禁じえないことでしょう。
主演作の公開時期が被るというのは、実は「まだ大スターじゃない」ことの証明でもあります。トム・クルーズやブラピの主演作が同時期に複数公開されるなんて、まずありません。テイラー・キッチュもいずれスターの座を登っていくかも知れず、主演作をハシゴできるのも今だけかもしれません。
もちろん、二作とも日本語吹替え版同時公開中。『ジョン・カーター』で宮内敦士氏が演じるワイルドな冒険家と、『バトルシップ』で置鮎龍太郎氏が演じるエリート海軍大尉。役柄の違いに加えて、声優が2タイプ楽しめたりするのも吹替え版の妙味であります。
さあ、君も映画館でテイラー・キッチュと握手!
こちらは人生を踏み外す一本
あー苦しかった!!
私、今年なぜか花粉症になりまして、目はかゆいは、鼻水は垂れるはつまるは…。おかげで咳まで出る始末。本当につらいんです…。でもそんな苦しみの日々から解放され、新緑美しい5月です。
さて今月の1本目は、1991年に公開された
を紹介します。
アメリカの小さな町に女が2人。レストランでウェイトレスをしているルイーズと専業主婦のテルマ。
2人は親友同士。ルイーズは、ただ同じことを繰り返す退屈な毎日から、テルマは、家政婦同然に扱う夫ダリルから逃れるために、2人はドライブへと繰り出した。そこで大きなトラブルが…。
2人にとって思い出作りだったはずの旅行が、一転して逃避行と化してしまう。着々と固められていくハル警部の包囲網と度重なる不幸な出来事に、2人は窮地に立たされる。さーて、2人の結末やいかに!?
そんな女性2人、ルイーズ(スーザン・サランドン)に塩田朋子さん、テルマ(ジーナ・デイヴィス)に佐々木優子さん。テルマの夫、ダリル(クリストファー・マクドナルド)に田中正彦さん。2人を追うハル警部(ハーヴェイ・カイテル)を菅生隆之さん等面々。
是非、GW親友と観てください!!
2本目は、1998年公開の
舞台は、アメリカ・オハイオ州の、どこにでもあるような平凡な高校。ある日、いじめられっ子のケイシーは、グラウンドで奇妙な生物を発見する。生物教師に相談し、水槽に入れてみると、息を吹き返したかのように動き出す。
一方、チアリーダーのデライラは教師たちの様子がおかしいことに気づき、仲間と共にジークの家に逃げ込む。しかし、次々に寄生されていく仲間と教師たち。
果たして、この生物の正体は? 弱点は?そして退治することはできるのか!?平和な日常を取り戻すため、走って走ってまた走る!!!
ふきカエのキャストは、ケイシー(イライジャ・ウッド)に岡野浩介さん
デライラ(ジョーダナ・ブリュースター)に田中敦子さん
不良のジーク(ジョシュ・ハートネット)に今井朋彦さん
寄生されていく教師、ジョー(ロバート・パトリック)井上和彦さん
エリザベス(ファムケ・ヤンセン)金野恵子さん
など、当時の若手からベテランの皆様まで盛り上って超豪華です!!
何も考えず、楽しんでください!!
吹替え制作の現場を知らない方でも想像はされていると思いますが、映画の吹替えは、映画本編に登場する俳優の数だけ声優さんを集めて作るわけではありません(密室劇とか『太平洋の地獄』みたいに登場人物が限られている場合は別ですが)。
メインキャラクターにはもちろん一人ずつ声優さんを配しますが、出演場面の少ないサブキャラクター群は、芸達者な声優さんたちがそれぞれ複数の役を演じ分けてくれます。
メインキャラを演じ慣れている声優さんは、声がよく知られていることもあって、逆にこうした「ダブり」の機会が滅多にないのですが、俺は「木曜洋画」時代、おそれ多くも主演の大御所声優さんにダブりをお願いしたことが2度あります。
1つは、特別企画として放送したドキュメンタリー映画
アメリカの “銃社会” を非難したこの映画の本編中には、アメリカ人の銃依存の歴史を説明する『サウスパーク』風のショートアニメが挿入されていますが、このパートの吹替えも山寺さんに一人で演じてもらいました。
ただ、マイケル・ムーアの役作りで台本を読み込んできた山ちゃん、まさか「ダブり」をやらされるとは思いも寄らずアニメパートは完全スルーしていたので、現場でそれを知って少々パニック・・・結果、アニメパートは後回しにして別日に録らせてもらうことに。気を取り直してハイテンションで演じてくれたアニメパート、さすがに絶品でした。
(ちなみにDVD版のマイケル・ムーアは江原正士さんですが、やはりアニメパートも担当されたとのこと・・・てっきり別の人かと思ってました。さすが江原さん、七色のボイス!)
なお、この「木曜洋画」版については以前、こちらにも書きました。
チャールトン・ヘストン役をドキドキしながら納谷悟朗さんにオファーしたり、何かと思い出深い現場でした。興味のある方はついでにご一読ください。
もう1つは、リチャード・ギア主演のサスペンス
ここからはちょっとネタバレになりますが、知らずに観たらまずわからないので…。
本編中、主人公に謎の電話がかかってきます。受話器から聞こえてくるのは、混信したラジオのような、意味不明の不気味な声。当初は特にクローズアップしていなかったのですが、打合せ中に急に思いついてディレクターの松川陸さんにお願いし、あえて津嘉山さんにやってもらうことにしました。
映画では結局、この電話の真相は明らかにされないのですが、もしかすると主人公自身の心の声かもしれない、という俺独自の解釈を吹替え版で提示させてもらったのです。ただ、どちらかと言えば、主人公を演じるための津嘉山さんの役作りの一助として考えたことで、実のところ電話の声は加工されており、すぐに津嘉山さんとはわかりません。その辺は視聴者それぞれの解釈でご覧頂ければ…。
この『プロフェシー』は、5月28日(月)の「午後のロードショー」で久々に放送されます。
またしても東京地区のみで申し訳ありませんが、観られる方はぜひご覧ください。