外国映画をこよなく愛し、数々の吹替えの制作現場に携わり、音声業界でも名うてのふきカエ愛好家である吉田プロデューサーと長谷川マネージャーとMr.ダークボ がぜひ観ていただきたい名作・秀作をご紹介!

※Amazonのページで紹介しているビデオテープ・DVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。

♪チャラッチャッチャラッチャッ♪(←スーパーマリオのオープニング)

……本当は「パックマン」の♪ズチャチャラチャラチャ…ってアレを字で再現したかったんですが、長くなるのでやめました。でも実を言うと筆者の世代のゲーム体験はもう少し前で、それこそ「スペースインベーダーのナゴヤ撃ち」や「ゼビウスのモノリスは256発撃てば壊せる」といった情報が、暗いゲーセンの片隅で囁かれていた昭和の時代。脱衣麻雀に二千円突っ込んだ後で我に返ったときの喪失感を何に例えましょうや。嗚呼。


『シュガー・ラッシュ』

シュガー・ラッシュ 公式サイト

(日本語吹替え版のスタッフ・キャストはこちら)


”アクション・ゲームの悪役キャラであるラルフの願いは、みんなに愛されるヒーロー・キャラになること。 悪役暮らしに我慢できなくなったラルフは、ある日自分のゲームを飛び出して、お菓子の国のレース・ゲーム“シュガー・ラッシュ”に迷い込む。そこで不良プログラムであるためにレースに出場できない少女ヴァネロペに出会い、二人は友情の絆で結ばれていく。 だが、ラルフの脱走はゲームの掟に反し、このままではゲームの世界全体に災いをもたらすことになってしまう。ゲーム・キャラクターたちがパニックに陥る中、ラルフは“シュガー・ラッシュ”とヴァネロペに隠された恐るべき秘密を知ってしまう。 はたしてラルフはヴァネロペを救い、 “本当のヒーロー”になれるのだろうか…?


『スーパーマリオブラザーズ』に代表される「自宅のファミコンで遊べるゲーム」の台頭で、それまでゲーセンの暗がりに潜んでいたゲームキャラたちは家庭の明るいリビングへと飛び出して来ました。「花札とトランプのメーカー」だった任天堂は"世界のNintendo"となり、ビデオゲームという全く新しいエンターテインメントは瞬く間に世界中を席巻します。結果、ミッキーマウスに比肩するほどにメジャーとなったゲームキャラをハリウッドが指をくわえて見ているはずもなく、彼らを主役にした映画が次々と作られるようになりました。
スーパーマリオがボブ・ホスキンスという瓜二つの(!)俳優によって銀幕に登場し、本家のゲームでは脇役だった『ストⅡ』のガイルは、ジャン・クロード・ヴァン=ダムが演じて堂々の主演デビュー。アンジェリーナ・ジョリーは遺跡ハンター(=『トゥームレイダー』)ララ・クロフトとなって冒険を繰り広げ、『バイオハザード』はミラ・ジョヴォヴィッチ演じるアリスという新キャラを得て大ヒットシリーズに転生…と、枚挙に暇がありません。

しかしこれだけ量産されてくると、オリジナルのゲームファンからは失望の声も上がり始めます。「『ときメモ』の藤崎詩織がなんで吹石一恵やねん」とか「『デッド・オア・アライブ』の映画版は"揺れ方"が足りない!」とか(前者はともかく後者には同意)…
もとよりゲームとはプレイヤーの操作次第で展開が変わっていくもの、予めストーリーが決まっている映画というメディアには収まり切らない部分も当然出てきます。それはゲームを映画化する際には避けて通れないギャップであり、越えられない壁でもありました。
うーん、やっぱりゲームを映画にするのは難しい。じゃあ…映画をゲームにしちゃったらどうだ?

そこで今回の『シュガー・ラッシュ』。これはまさに「映画自体がゲームになった」快作です。主人公のラルフが悪役キャラを演じている"Wreck-it Ralph"も、彼が飛び込んでいく"Sugar Rush"も、この映画のために考えられた架空のゲーム。でもこれがよくできていて、キャラの動きからゲームのルール、グラフィックの設定まで実に丹念に作りこまれています。実在はしないのに、映画を見ているとまるで自分が過去にプレイした(それも相当やり込んだ)ゲームのように思えてくる。そんな"誰も知らないのに誰もが知っているゲーム"を作るあたりは、さすがディズニー・アニメの底力。

ラルフもヴァネロペもこの映画のオリジナルなのに、まるで昔から知っているキャラであるかのように感情移入してしまいます。そんな彼らを取り巻くのがベガやクッパやソニックなど、実在(?)のゲームキャラたち。勇気と友情と冒険という、いわば定番のテーマを扱いながら、見たこともない(でもどこかで見たことのある)素晴らしい物語が展開する『シュガー・ラッシュ』。大人から子供まで、笑って泣いて感動できる傑作です。

吹替え版でラルフの声を演じるのはもちろん我らが山ちゃん、山寺宏一。彼には珍しくマッチョな役ですが、実にハマっています。そしてヴァネロペを演じる諸星すみれさんにも注目。まだ十三歳ながら芸暦は十年(!)、『トイ・ストーリー3』や『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の吹替えを始め、ドラマや舞台でも活躍中の新進女優です。実際にこのコンビで「シュガー・ラッシュ」をゲーム化したら絶対ヒットすると思うなあ。とりあえずスマホのアプリとかで、誰か開発しないかなあ(もうあったりして)

さて、ディズニー・アニメといえば本編の前に短編が併映されるのが常ですが、今回は必見です。今年のアカデミー賞で短編アニメーション賞を受賞した『紙ひこうき』。2Dの手描きの線と3DのCGが巧みにMIXされ、モノクロの画面に繊細な物語を紡ぎだしていく。いやホント、アニメって何でもできるんだなあ、と感嘆してしまいます。皆さんもこの春休みは御家族そろって、アニメとゲームの魔法にかかってみてください。


スーパーマリオコレクション スペシャルパック

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[画像はAmazon.co.jpより]

マリオもいいけど『サスケコマンド』も
復刻してくれないかなー

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まぁ~早い早い。皆様春ですよ~。花粉も飛ぶし、PM2.5も飛ぶし、せっかくの春なのに、マスクが必需品なんて、なんて国なの! 我が国は!! そんな中でも、忙しい毎日に立ち向かっていかなければいけない、新社会人も新入生もそうでない方々も、やっぱり娯楽は映画に限る!! さて、早速今月も紹介します。


10日間で男を上手にフル方法 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

まず、1作品目は、2003年に公開された、ドナルド・ペトリ監督のラブ・コメディー

『10日間で男を上手にフル方法』
[画像はAmazon.co.jpより]

主人公は、ニューヨークで働く男と女。男は、広告代理店に勤めており、大きな仕事をライバルと取り合っていた。一方女は、出版社で社会派の記事を書くことを夢見ながら、ファッション誌の記事を書かされ続け、悶々とする日々を送っていた。そんな全く接点のない二人に、同時期それぞれ“10日間の賭け”の提案が…。偶然か必然か、パーティで出会った二人は、心に秘めたお互いの夢の実現のために、嘘で固められた恋人同士に!?
ニューヨークのマンハッタンを舞台に描かれる、オシャレなストーリー。
そして、気になるふきカエキャストは、ヒロインのアンディ(ケイト・ハドソン)を斎藤恵理さん、 ベンジャミン(マシュー・マコノヒー)を森田順平さんがロマンティック且つハチャメチャに演じられています。

 

『アダムス/ファミリー』

2作品目は、1991年公開のバリー・ソネンフェルド監督作品、ホラー・コメディ

『アダムス・ファミリー』

です。この作品は、アニメーション版、ドラマ版の双方で人気を博し、映画化に至ったものです。当時のCG技術を駆使し、びっくりな映像満載!! ゴメス役ラウル・ジュリア、モーティシア役アンジェリカ・ヒューストンをはじめ、ウェンズデー役クリスティーナ・リッチ、パグズリー役ジミー・ワークマン、といった面々の怪演に思わず笑うしかない!!
ふきカエキャストは、DVD版にも2パターンあり、旧DVDは、ゴメスに玄田哲章さん、モーティシアに高島雅羅さん、ウェンズデーに故 近藤玲子さん、パグズリーに大谷育江さんがあてられ、新DVDは、ゴメスを阪脩さん、モーティシアを沢田敏子さん、ウェンズデーを小林優子さん、パグズリーを亀井芳子さんが演じられています。どちらも豪華なメンバーです。

ちなみにアダムス・ファミリー2も公開されています。続けて観ればなお楽しい!! ですよ!!

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デジタルで甦る「20世紀名作シネマ」

2月に無事初回放送を終えた新録版『タワーリング・インフェルノ』は、おかげさまで概ね好評だったようです。ごくわずかに辛辣なご意見も頂きましたが、感想が人それぞれなのは当然のこと。ご視聴ありがとうございました。

大いに手応えを得たところで、BSジャパンの映画は、この4月から大きく生まれ変わります。 開局以来の指定席だった夜9時からお引越し。毎週金曜夜8時~の「シネマクラッシュ 金曜名画座」と、土曜夜7時~の「土曜キネマ」の2枠になります。放送時間が早くなるのを機に、外国映画は原則として吹替え版でオンエア!(字幕ファンの皆さん、すみません)
ここ数年、巷では「午前十時の映画祭」という企画で名作洋画の数々がプリント上映されてましたが、この4月からは「新・午前十時の映画祭 デジタルで甦る永遠の名作」としてデジタル上映で再スタートするとか。BSジャパンの映画番組は、さながらこのテレビ版。往年の名画を中心としたラインアップを、BSデジタルの高画質HD+ふきカエでお送りする、言わばデジタルで甦る「20世紀名作シネマ」であります!

ベン・ハー 製作50周年記念リマスター版(2枚組) [Blu-ray]

4月5日(金)、「金曜名画座」の第1弾は、放送枠を思い切り前に拡大して、あの『ベン・ハー』を夜6時から4時間一挙放送!
チャールトン・ヘストンのふきカエと言えば、まずは何と言っても先頃逝去された納谷悟朗さん。超大作から、以前このコラムでご紹介した『ボウリング・フォー・コロンバイン』まで、数々の名演の中で納谷さんが特に思い入れがあったのはやはり『ベン・ハー』なのだそうですが、何とも残念なことに、複数バージョンあったはずの納谷=ヘストンの吹替え版は、いずれも放送用素材が消失していました…。

『ベン・ハー』台本 そこで気を取り直して今回は、かつて「20世紀名作シネマ」で制作された吹替え版に、当時カットされた箇所を追加収録してロングバージョンを制作しました! 実は追加収録という方法論には個人的に複雑な思いもあるのですが(機会があればいずれ語ります)、まあ何事も経験ですからね。2000年に新録を手掛けた佐藤敏夫ディレクターと渡邉プロデューサーのもと、磯部勉さん、山路和弘さん、日野由利加さん、内海賢二さんほか当時のキャストがこぞって再登板。13年前の自らの演技をフォローするのは、ベテラン声優陣にもハードな作業だと思いますが(山路さんは現場で「自分との闘いだ」と呟いてました)、そこは皆さん見事にクリア。ただしこの13年の間に惜しくも亡くなられた佐古正人さん、小林勝彦さんのパートは、それぞれ世古陽丸さん、小島敏彦さんに代役を務めて頂きました。
この磯部=ヘストンのテレビ東京版は、発売中のブルーレイにも収録されていますが、ロングバージョンは今回の放送のためのBSジャパンオリジナルで、初のお披露目です。ぜひご覧下さい!

 

スケアクロウ [DVD] 続いて4月12日(金)夜8時からの第2弾は、ジーン・ハックマン&アル・パチーノ主演の『スケアクロウ』です。
ふきカエはやはりかつて「20世紀名作シネマ」で制作したバージョンで、当時の担当プロデューサーはこの俺。そして制作会社は「スケアクロウ」・・・実は、社長がこの名画を愛するあまり社名に戴いた、というエピソードを聞いていたことから、スケアクロウでスケアクロウを作ってみよう、と思い立ったのでした。
2000年の放送時には、かつての小池朝雄さん&あおい輝彦さんのふきカエを懐かしむ声もありましたが、若かりし頃のハックマン&パチーノには、手前味噌ながらわがバージョンの大塚明夫さん&平田広明さんもなかなかのフィットぶり。泣けます!
『スケアクロウ』台本


この後も、ジューン・アリソンやエリザベス・テイラーの可憐な少女時代が微笑ましい『若草物語』、デヴィッド・フィンチャー監督によるリメイクが進行中の古典的SF『海底二万哩』、といったご家族揃って楽しめる名画が続々登場。
そして5月には、「木曜洋画劇場」時代にやろうとしながら果たせなかった、ある大ヒットシリーズのふきカエ新録コンプリートを計画してます。どうぞお楽しみに!

[作品画像はAmazon.co.jpより]

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