───まず本作でジェームズ・ボンドを演じています、藤真秀さんです。藤さんは、今回の『慰めの報酬』【TV吹替キャスト・新録版】で、六代目ボンドのダニエル・クレイグの作品でボンドの声を全て担当されたことになりますが、今回の意気込みをお聞かせ願います。
藤 『カジノ・ロワイヤル』が「日曜洋画劇場」で放送される際にオーディションがありまして、そこでボンド役をいただき、演じさせていただきました。その時は吹替えの日(経験)も浅かったので、非常に緊張して演じたのを覚えています。今日も緊張しているんですが。
───ありがとうございます。つづきまして、今回のボンド・ガール、カミーユを演じます武田華さんです。武田さんは前回の『カジノ・ロワイヤル』オーシャンクラブの受付嬢役からの大抜擢ですが、ボンド・ガールを演じられるのはどんなお気持ちですか?
武田 前回カジノ・ロワイヤルの頃は、まだ私は新人だったので、受付嬢の役でしたが、まさか続きの作品でヒロインを演じることができるとは、とても光栄に思っています。ボンド・ガールが決まった時にすぐ父に連絡したんですが、「それはおめでとう。でも大丈夫?」って心配されるメールが何回もきまして(笑)普段、私は子供の声ばかり、しかも男の子役が多いので、カミーユが大人になってゆく過程を、皆さんに支えられながら演じていけたらなと思っています。
───ありがとうございます。そして、敵役グリーンを演じられるのは江原さんです。『トゥモロー・ネバー・ダイ』の初回のTV放送で、ピアース・ブロスナンの五代目ボンドを演じられて、今回はボンドの敵役です。ご自身が演じる今回の役の印象はいかがですか?
江原 この『慰めの報酬』に出てくるグリーンという敵役は、シリーズで一番華奢で、印象が薄いというのが実感です。そしてなんとなくキモチ悪いかな、という…。その辺に焦点を当てて役を作り、本番を演じています。
───(藤さんに)ボンドを演じるにあたり、過去にボンドを演じた声優さんを参考にされましたか?
藤 正直、参考にはしていません。名だたるすごい方が沢山いらっしゃいますが、とてつもないレベルの雲の上の方たちなので、僕が参考にするというのは不可能だと思います。また、歴代ボンドの中でも、ダニエルのボンドというのはちょっと異質というか、雰囲気が(他のボンドと)違う作品のような気もしていますので、以前のボンドの声の方々を参考にするというよりも、まず自分にできることを精一杯やらせていただきました。
───(江原さんに)以前にピアース・ブロスナンのボンドの声を演じられていますが、(クレイグのボンドと)比べてみていかがですか?
江原 僕はボンド・シリーズが大好きですが、ダニエル・クレイグの作品、前回の『カジノ・ロワイヤル』から、かなり強めのハードボイルドタッチの作品になったと思います。ピアース・ブロスナンの時は、まだ先代のロジャー・ムーアのような、ちょっとユーモアのあるところが見られました。ロジャー・ムーアとダニエル・クレイグと中間地点がピアース・ブロスナンかなと思うんですよね。そういう意味では、先ほど藤さんが仰っていましたが、ボンドが全く違うキャラクターになっています。ですから、それぞれ(のボンド俳優)の違ったボンド像を楽しむことができると思います。ぜひ私がボンドの声を演じた『トゥモロー・ネバー・ダイ』も楽しんで下さい!