───スパイダーマンといえば日本でもファンの多い作品ですが、今回の『アメイジング・スパイダーマン』はオリジナルの出演者が一新されました。本名さんとしてはどのようなお気持ちで臨まれましたか。
このような大作に関われて光栄です! 出演者が一新され、いろんな意味で注目される作品だけに、収録が終わった今でもちょっぴり緊張していますが、これ以上ないチャンスをいただけた喜びでいっぱいです。
グウェン役はオーディションで決まったのですが、会場に行くまでどんな作品か知らされなかったんです。一視聴者として楽しみにしていた『アメイジング・スパイダーマン』だとわかった瞬間、体中の血が一気に燃えたぎりました!収録時は、とにかく心を込めてグウェンを演じることに集中しました。収録の最後のほうは、空腹との戦いでしたが(笑)
───今回のグウェン・ステイシーを演じる際に何か特別なものはありましたか。
不思議と役に取り組む上で、これまでのシリーズにとらわれることは全くなかったんです。彼女(グウェン)に寄り添い、心で会話をしていきました。彼女のもつ正義感は、わたしと全くといっていいほど似ていました。この役と巡り合えたのは運命だったのかな、とも思います。
細かな表現は、ディレクターの中野さん、プロデューサーの小澤さんと一つ一つすり合わせながら大切に演じていきました。だいぶそぎ落としながらの作業でしたので、収録後は抜け殻のようでしたが、ほんとうに充実した幸せな時間でした。
───エマ・ストーンという女優さんについてはどのような感想をお持ちですか。
透明感と芯の強さ、これらの美しさを兼ね備えながらの独特のハスキーボイス、このギャップ萌えがたまらないです!!
収録中に何度も映像を見たはずなのに、完成試写のときスクリーンに映し出された彼女を見て、思わずため息がでました。この作品は彼女にとって劇的な変化をもたらしたのでしょう。その彼女の輝きをいかに生かすか。そこがわたしの勝負点でしたね。
───本名さんは多くの洋画や海外ドラマの吹替えをされていますが、演りやすい俳優さん、好きな俳優さんはいらっしゃいますか。
演りやすくなれたらどんなにいいだろうかと!!(笑)同じ役者さんであっても、一つとして同じ作品はないので、毎回が自分との戦いです。
好きな方は……そうですね……何度かやらせていただいている中国のファン・ビンビンさんや、韓国のイ・ダヘさんには特に思い入れがありますね。
───吹替え作品で好きな作品、印象に残っている作品はありますか。
今でも原点を確認するために年に何度もみているものがあります。子役のころに演じた 木曜洋画劇場『プランサー』。
わたしは主役のジェシカ役なのですが、サンタを本当に信じている子供なんですね。実はわたしも子供の頃そうだったんです!(笑)この作品をみる度に、演じることの楽しさ、難しさが不思議と整理されて、「よし、またがんばろう」と思える貴重な作品です。
───好きな声優さん、目標にしたい声優さんはいらっしゃいますか。
わたしはオードリー・ヘプバーンの大ファンなんですが、チャーミングで品のある池田昌子さんの声がオードリーの魅力をさらに引き出していると思うんです。ですので、ずっと変わらず、池田昌子さんです。
───声のお仕事に入られたきっかけはどんなことですか。
スタジオジブリ作品の『おもひでぽろぽろ』で小学5年生のタエ子をやらせていただきました。
まだ児童劇団に所属していた中1のころです。
───初めて吹替えをなさったときはいかがでしたか。
それまではドラマにばかり出ていたので、吹替えといいますか、声の仕事の取り組み方がさっぱりわからなかったので、台本をまるまる一冊覚えていっちゃいました(笑)今思えば、すごいことをしたなと!
───このサイトは声優志望の方にも多くご覧いただいていると思いますが、そういう方たちへの一言をお願いいたします。
声優は、やればやるほど奥が深く、魅力的な仕事です。究極の裏方ともいえますし、職人ともいえますし、時にアイドルのように脚光を浴びることもある。この幅の広さは他の仕事にはなかなかないのではないでしょうか。だからこそわたしは誇りをもって「声優」という仕事に取り組んでいます。
わたしの好きな言葉に「何があっても希望の火を燃やし続けてこそ道は開けてくる」とありますが、心に希望の太陽を昇らせて、ぜひ一人でも多くの方に声優になっていただきたいと思っています。
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