───江原さんは何本もウィル・スミスを演じてらっしゃいますが、『メン・イン・ブラック』の「J」の役づくりで苦労されたことはありますか。
MIBの公開時、トミー・リー・ジョーンズは日本では演技派の俳優として知られてましたが、Jことウィル・スミスは新人であまり知られてなかったようです。が、ラップミュージシャンだったという彼の、独特なノリとキレのいい若々しいキャラクターに、新鮮な魅力を感じた次第です。其故と言っては何ですが、古参エージェントKとの対比を出すために、映画の設定と同じくルーキー(新人)であるという鮮度を求めて(人のいいノリのいい若者)という役作りを目指しました。また彼は、特に表情が豊かなので台詞合わせは当初カナリの努力をいたしました。
───ウィル・スミスを演じる際に何か特別なものはありますか。
ウィル・スミスに限ったことではありませんが、一般の方が映画を観た時に違和感を感じられませんように、僕の想う彼のイメージを喚起して本番までに、脳内を100%私はウィル・スミスだ状態にしますo(^▽^)o
───江原さんは多くの俳優さんを吹替えられていますが、演りやすい俳優さん、好きな俳優さんはいらっしゃいますか。
本番に向けての仕込み作業で何度も作品を見るわけですが、いい芝居してるな~と感じて素に戻ってしまう時が、その俳優さんを好きになる瞬間でしょうか、トム・ハンクスには何度も感服しました。
演りやすい俳優さんというか、技術的にはクチパクがハッキリしない役は合わせやすいかも知れません、もちろん芝居の深度という基本のハードルは別ですが。
───吹替え作品で好きなもの、印象に残っているものはありますか。
あまりにもたくさんの映画を思い浮かべてしまいますが、最近ふと思い出した作品にビル・マーレイの『3人のゴースト』がありますね、今の時代にぴったりの心温まる作品でした。
※右のDVDには日本語吹替えは収録されておりません。ご購入の際はご注意ください。
───好きな声優さん、目標にしたい声優さんはいらっしゃいますか。
故・野沢那智さんや若手も含め多くの方々が好きですが、先ほどの作品の『3人のゴースト』でも一緒に仕事をさせていただいた故・富山敬さんの仕事への真摯な姿勢は見習いたいと思ってます。
───声のお仕事に入られたきっかけはどんなことですか。
劇団にいた頃、気づいてみれば、ほとんどが声の仕事になってしまってたので、そのままスライドしてしまったような。
───初めて吹替えをなさったときはいかがでしたか。
最初にいただいたのは、台詞が少なくアップの多い等身大?の役だったので、今ほど苦労はしなかった記憶がありますが、今想うと、不遜というか怖いもの知らずというか、その後だいぶ苦労しました、若かったですね、反省してます(笑)
───出演される方が別々に録る場合もありますが、皆で一緒に録りたいと思われますか。
圧倒的にそう思います、血が通う感じがします、自分と映像と相手との三位一体感とでも言いましょうか、いい台詞を聞くとゾクッとしてアドレナリンが出るような!
───かつてベテラン俳優さんの中には、声の仕事をすることに違和感をお持ちの方もいらっしゃいましたが、江原さんはいかがですか。
僕自身は違和感ゼロです。
海外では、いろいろチャレンジされてる俳優さんも多いですよね。
声の仕事は素材だけでなく若干のスキルも求められるような気がしますが、洋画でいえば、一度でもアフレコ感を体感したら皆さんハマるんではないでしょうか。
───このサイトは声優志望の方にも多くご覧いただいていると思うのですが、そういう方たちへの一言をお願いいたします。
声の仕事は多岐に渡っていてオールラウンドプレーヤーを目指すのは難しいですが、自分の得意分野というか好きな方向を見定めて努力すれば、自分を生かせる場が自然と開けてくるのではないでしょうか?もちろん前途多難ではありますが、世阿弥のいう(時分の花)を思い出し、己を信じて歩む勇気を持って一度しかない?人生を楽しんでください!
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