『ジュラシック・ワールド』ザ・シネマ新録版2025年2月、独占TV初放送!主人公オーウェン役山寺宏一さんインタビュー!

ジュラシック・ワールド【ザ・シネマ新録版】
 
ザ・シネマによる吹き替えファンのための特別企画“ザ・シネマ新録版”。
2025年、第9弾となる新録版はスティーヴン・スピルバーグ製作総指揮のメガヒット恐竜アドベンチャー『ジュラシック・ワールド』を、主人公オーウェン役(演:クリス・プラット)に“声優界のレジェンド”山寺宏一をはじめ園崎未恵、戸谷菊之介、榊原優希ら豪華吹き替えキャスト出演で制作!
2/23(日)夜9時より独占TV初放送!
その放送に先駆けて、クリス・プラットを吹替えした山寺宏一さんに作品について、恐竜について、憧れた声優について等々、様々なお話しを伺いました!
⇒『ジュラシック・ワールド ザ・シネマ新録版』特設ページ
 
Q:新録版の話を最初に聞いた時はいかがでしたか?
 
山寺宏一さん(以下:山寺さん):すごく嬉しくて飛び上がっておりました。主人公のクリス・プラットは他の作品でも吹替えを演じさせていただいていました。大好きな俳優でもあり、作品についてもシリーズの第1作目である『ジュラシック・パーク』から、『ジュラシック・ワールド』の一連のシリーズは大好きで、劇場にも足を運んでおりましたので。
その作品に参加させていただけるということで、「待っていました」という感じになりました!
 
以前は放送局によって、吹替え版を変えるということがあったのですが、最近は少なくなっています。ですので、最初に吹替えの依頼が来ないと後でチャンスがあるということも少ないですから。
依頼が来たときは驚きましたね。やはり来るべくして来てくれたなと思いました(笑)。
『ジュラシック・ワールド』を演じられることはないだろうと思っていたので、2作目以降は観るのやめようかと思っていました (笑)。ですので今回はあまりにも嬉しくて、1作目の『ジュラシック・パーク』から全部観直しました!
続編の『炎の王国』と『新たなる支配者』も、まだ収録するお話しはしてないのに、もう1回ずつ観ております(笑)。
 
Q:準備は万端ですね。クリス・プラットのオーウェンについて、どういうところを注目して、演じようと心がけられたんでしょうか?
 
山寺さん:オーウェンという主人公はジュラシック・ワールドの中で働いていながらも元々は軍人であるという、バックボーンがあるので、そういうことを踏まえ、どのように(恐竜の)ラプトルを飼い慣らしてるのか、どのような思いでそのような行動をしているのかを考えて、演じさせていただきました。
このシリーズには、本当に色々な立場の登場人間が出てきます。アクションだけではなく、人間ドラマも多く含まれています。色々なことを教えてくれる映画だと思いますので、自分が演じる主人公オーウェンの立ち位置を、作品の中から汲み取って感じて、演じたつもりです。
 
Q:印象に残ったシーンは?
 
山寺さん:オーウェンが登場する最初に、恐竜のラプトル達に命令をして、動かすシーンがありましたので、その登場には大変驚きました。
これまでの『ジュラシック・パーク』シリーズでは、そのような人物は出てきていないですよね。
ラプトルという恐竜は『ジュラシック・パーク』シリーズ3本の中でもキーワードになっていた恐竜でしたので、その恐竜をそのように扱うという、とんでもない人物が現れたと驚きました。映画としてのインパクトも感じることができました。僕にとっての印象的なシーンでした。
吹替えで演じる場合、それがファーストシーンとなり、この人物がどのように恐竜たちと接しているということがわかるシーンでもありますので、大事にしようと思いました。
他に印象に残ったシーンは、クライマックスでインドミナス・レックスの味方についたかと思ったラプトルのブルーたちが、オーウェンたちを助けるシーンですね。オーウェンのセリフはほぼないのですが、そのシーンも大事に演じないといけないと思いました。
他の恐竜や、映画のヒロインであるクレアとのシーンでも印象的なシーンがあります。草食恐竜が倒れている時、オーウェンがとても大事に恐竜を扱うシーンでクレアが涙を流しますよね。このシリーズはクレアが変わっていく映画でもあると思うので、今後の流れにも関わる大きなシーンの1つだと捉えてここも大事にしなければと思いました。オーウェンとして恐竜に接するということ、恐ろしさも良さも分かっている人物が接するということ。恐竜には一切罪は無いと分かっている人物の対応を大事にしました。
 
Q:オーウェンの魅力も語っていただきましたが、山寺さんとの共通点はありますか。
 
山寺さん:それは一切ないですね(笑)。考えたこともなかったです(笑)。
オーウェンを演じる、クリス・プラットさんにはお会いしたこともありますが、とても気さくで明るい方でした。
オーウェンとの共通部分というところでは、動物を、犬も猫も飼っていたことはあります。今は違いますが動物に囲まれた生活もしていて、家族と思って接していました。そういう意味では、人間ではないものを慈しむ気持ちは僕にもオーウェンにもあると思います。しかし命を扱うというのは本当に大変なことだといつも思います。無責任にしてはいけないですね。
 
Q:この映画のテーマにも繋がりますね
 
山寺さん:そうですね、命のあるもの、命のないものだって大切にしなければいけないのですが、人間の都合でどうにかするというのはいけないと感じます。
以前に料理人の方とお話しすることがあったのですが、命をいただくということはどういうことか、食卓に上るまでに何があるのか、その方は真摯に考えていらしたので、そういったことは重要だと思いました。全ては人間の都合で、色々なことをしていますが、行き過ぎてはいけない、常に感謝の気持ちを持って、その工程を考えなければいけないと改めて思いました。この『ジュラシック・ワールド』という映画はアドベンチャー大作としても非常に楽しめるエンターテイメント作品ではありますが、色々なことを教えてくれる映画だということを、吹替えをして感じた次第です。
 
Q:今回は2015年の作品でしたが、その後の作品『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』では、2023年のクリス・プラットも演じられています。時系列と言いますか、少し過去の演者さんを吹替えする際に苦労点とか注意点はありますか。
 
山寺さん:特にないですね。その時系列に関しては、気にしなかったです。クリス・プラットは僕より若いですが、あまり年齢感を感じさせないと思います。最近のクリス・プラットを見て、「老けたな」とは思わないですし、『ジュラシック・ワールド』の1作目の時でも、若いなという感じは持ちませんでしたね。全く意識しないでやりました。役柄が違うので、そのキャラクターに合わせて演じています。
キャラクター性、その人物によって、クリス・プラットの役作りも違っているように見えました。いつも自然体で演じられているので、台本に書かれているオーウェンという役、その役をクリス・プラットがどう演じているかを見て、年齢の差は感じることなく演じました。
 
Q:主人公を演じるクリス・プラットについて
 
山寺さん:色々な魅力を持っている方ですよね。頼もしいタフガイを演じられていますが、お茶目でセクシーな面も持っている。男として、もう最高じゃないですか(笑)。
ルックスだけでなく、彼の持っているものが魅力的なのでしょうね。だからハリウッドで愛されて、色々な作品に登場し、確かな演技力とあわせて人柄が役にも反映されているのかなと思います。
1回しかお会いしていないのに何がわかるのだって思われるかもしれませんが、何時間か一緒にいた時に、根っから明るい方だなということを感じました。
彼が主人公であることで、この『ジュラシック・ワールド』は緊張感のある映画ですが、怖くなり過ぎずに楽しめる作品になっていると思います。
 
Q:ちなみに『ジュラシック・ワールド』の2作目、3作目でオーウェンを演じるイメージはできていらっしゃいますか?
 
山寺さん:もちろんです!をきっかけに、2作目、3作目もぜひザ・シネマさんの新録版で演じさせていただきたいです。2025年は(シリーズ4作目の)『ジュラシック・ワールド リバース(原題)』も公開されるということで、さらに盛り上がりますよね。贅沢は申しません。どうぞよろしくお願いします(笑)。
 
ジュラシック・ワールド【ザ・シネマ新録版】
 
Q:もしこの作品の恐竜たちが話し出したとしたら、どの恐竜を演じたいですか?
 
山寺さん:喋らないですよね(笑)。今回の作品で1番面白いのはインドミナス・レックスだと感じました。人間が勝手にDNAを操作して、金儲けのために作った恐竜でもあり、人間に例えるなら、自分は何者でどこを居場所としているのかを探しているだろうし、その苦悩の芝居はものすごく難しいだろうと思いました。その苦悩をモノローグとして延々と語ることが出来たら面白いと思いますし、難しければ難しいほどやりがいがあるので、何のために生きているのだという哲学にもなるでしょう。クローンやAI、ロボットもそうですが、そのような題材とした作品は色々な矛盾との戦いが描けますよね。感情の物語であり、生きるとは、命とは、愛とは、色々なことを描けますよね。この作品のインドミナス・レックスなら面白いものが描けるかもしれません。
 
Q:恐竜が身近にいる存在だとしたら、山寺さんはどんな恐竜と何をしたいですか?
 
山寺さん:せっかくなので、大きい恐竜を見てみたいですが、空を飛んでみたいなとも思います。鳥には乗られないですが、翼竜なら乗れるかもしれません。翼竜は怖いですが、どこにでも行けそうですよね。でも作品の中で主人公のオーウェンも言っているように、恐竜は最後まで危険で、恐竜を何とかしようなんていうのは間違っていると思います。ペットのようにしようなどと思ってはダメです。程よい距離感で付き合うべきですよね。
この作品、このシリーズ自体が、行き過ぎて自然の摂理に反してはいけないというテーマでもありますが、もしも実際に映画の中のようなことが起きたら、見てみたいなって思わせてくれる、そんな魅力を持っていますよね。だから、恐竜と一緒に何かをするというのは、映画で観て、想像して楽しんでください。
 
Q:主人公オーウェンと恐竜ブルーのその信頼関係が映画ではテーマの一つにもなっていますが山寺さんにとっての相棒的なものや人はいますか?
 
山寺さん:強いて挙げるなら車ですかね。特別、車が大好きというわけでもないですが、車での移動も多いですし、車の空間が好きなので、愛着がありますね。
近場にある、交通量が多いけど人通りは少ない高速道路下のパーキングエリアに止めて、セリフの練習をしたり、歌の練習をしたり、発声練習をやることがありますね。そこだと迷惑も掛からないので。そういった意味では、相棒となるかもしれません。
話しがそれますが、『ジュラシック・ワールド』に出てくる車でメルセデス・ベンツのGLEクーペという車種があって、劇場で見た時に「僕が欲しい車はこれだ!」と思ったことがあります。現在は普通に走っていますが、公開当時は市販されていなかったのですよね。結局サイズと値段的な事で乗っていませんが(笑)。
 
Q:吹替えについてお尋ねします。人生で初めて吹き替えっていうものを意識した作品、もしくは声優さんっていらっしゃいますか。
 
山寺さん:子供の頃に観た吹替版というのは、テレビで放送されていた洋画劇場の吹替版で、それが映画体験の全てと言っても過言ではなかったですね。どの吹替版作品についても、普通にTVの中の外国の人たちが日本語を喋っていると思って観ていました(笑)。
声優のことを明確に意識することはまだなかったですが、何かのきっかけで、「タイガーマスク」の伊達直人とハクション大魔王のお父さんは同じ人が演じているということに気づきました。声優について覚えている中の1つですが、そこで富山敬さんが色々なアニメの主人公を演じているということを知り、富山さんってすごいと思ったことを覚えています。
僕の師匠である、羽佐間道夫さんが『ピンクパンサー』でピーター・セラーズの吹替えをされていたものがすごく面白いと思ったことと「おらぁグズラだど」の大平透さん、あとは「巨人の星」が好きでしたので古谷徹さんのお名前を意識していたと思います。
 
Q:昔は新聞のTV欄にも声優さんのお名前が書いてありましたよね
 
山寺さん:そうですね、新聞から目当ての声優さんを探すことが楽しくなってきて、色々な方をチェックしたことを覚えています。
富山敬さんのことはいつもチェックしていました。あとは、好きな作品の主人公は全部に野沢雅子って名前があるということもありましたね(笑)。
 
Q:山寺さんが1番最初に吹替えした作品って覚えてらっしゃいますか。
 
山寺さん:脇役での出演は、どの作品が先かは覚えていなのですが、主人公を演じた作品は『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』です。先日、亡くなってしまいましたが、松野太紀、当時は松野達也の名前で活動していた彼とコンビ役でその作品の吹替版に出演しました。
それ以前に堀内賢雄さんと三ツ矢雄二さんが演じたバージョンもありましたが、松野くんと2人で「尊敬する先輩方に負けないよう頑張ろう」と、お互いに励まし合って頑張ったことを覚えています。
やるからには先輩が演じた吹替版を超えたいという気持ちがありました。やるからには常にそのような気持ちを持って臨んでいます。
当時、起用してくれたディレクター、プロデューサーも若手を起用することは怖かったかもしれません。アニメーションでメインを演じていても洋画作品に起用されることは難しい時代でしたので、起用されたことだけでもとても嬉しかったですが、期待を超えたいという気持ちでやっていました。今でももちろんそうですが。
 
Q:吹替えで実際に演じてらっしゃる人に声をあてるのは、やはり難しさがありますか。
 
山寺さん:生身の人間を吹替えするという行為は本当に難しいと思います。
違和感なく見せられることは不可能ではないか、ということをどこかで思っています。でも吹替版を観て聞いて育ってきた者としては、自然に感じてくれたらいいなと思いながら、どうすれば良いかずっと模索しながら演じています。
その俳優さんに引っ張ってもらっていると感じることもあります。ハリウッド映画でメインの俳優を演じているのは本当に上手い方たちだと思いますので、その芝居から盗むというか、その芝居を見て鍛えられるということがあると思います。ハリウッド以外の作品にも携わらせていただいていますが、色々な俳優を見て、本当に勉強になっています。
作品の台本をいただいて、自分はセリフの部分だけですが、どのように役を作るのか、どうしたら面白い表現が出来るのか、俳優のアイデアをどうしたら吹替えに活かすことが出来るのか、ということを考えています。
そのような意味でも吹替えで各国の俳優を演じることが出来るのはすごい経験だと思います。大きなスクリーンで映画を観たり、良い音で聴いたりすることで「没入感が得られる」といいますが、我々声優が感じる没入感もすごいものがあります(笑)。
役を演じるにあたって、その現場に自分がいる気持ちで演じています。もちろん俳優としてその作品に出演することが1番の没入となると思いますが、声優としてその映画の世界に入ることで得られる没入感はその次になるのではと感じていますね。
 
Q:憧れた、影響を受けた声優さんはいらっしゃいますか?
 
山寺さん:影響を受けていない先輩はいないぐらいです。レジェンドと呼ばれる先輩方からは皆さん影響を受けています。
 
Q:共演ができてすごく嬉しかった。ずっと共演を憧れていた、目標にしてた方は?
 
山寺さん:大勢いすぎるほどいらっしゃいます。先ほどの話に出た富山敬さんとは、何作かご一緒させていただくことができましたけど、もっともっとお仕事をご一緒にしたかった先輩の一人です。もっとたくさん学びたかったです。中学校の頃から(「宇宙戦艦ヤマト」の)古代進の真似をしていました。
声優になってからも、この作品のキャラクターは富山敬さんだったらどう演じるかな、ということを考えていました。
以前に『マイ・ブルー・ヘブン』(1990・アメリカ映画)という作品で、主演のスティーブ・マーチンに富山敬さん、共演するリック・モラニスの吹替えを僕が担当したことがありました。
リック・モラニスの吹替えには、富山敬さんを意識すると演じやすくなると思って練習をしていました。
いざ、現場に入って演じるとディレクターの方からも富山さんに「似ている」と言われて困ったことがありました。富山さんを意識して練習していたので、そうなりますよね。富山敬さんが主演をされているのに、物真似のようにしてはダメだ、しっかり自分を持たないと、思った瞬間でもありました。
納谷悟朗さんともご一緒できてうれしかったし、山田康雄さんとも共演させていただきました。山田さんとはコンビの役をやらせていただいたことがありますが、勝手に怖い方だと思い込んですごく緊張しました。実際の山田さんは優しかったです。
『ジュラシック』シリーズ1作目の『ジュラシック・パーク』では富山敬さんが主人公のサム・ニールを吹替えしていて、ハモンド役のリチャード・アッテンボローを永井一郎さんが演じられています。永井さんとも色々な作品でご一緒させていただいたことを思い出しますね。
師匠である羽佐間道夫さんとは今もよくご一緒させていただいています。羽佐間さんは91歳で現役です。他にもレジェンドと呼ばれるたくさんの先輩方と仕事を一緒に出来た、出来ているということは本当に嬉しいことで僕の財産です。
 
Q:改めまして、収録を終えてのご感想を。
 
山寺さん:とても楽しかったのですが、今はすでに寂しくなっております。早く2作目と3作目を吹替版で演じたいです。ザ・シネマさんからのオファーはまだですが(笑)、今回の吹替版の評判が良いと嬉しいです。
ぜひご覧ください。
 
 
→ ザック役 戸谷菊之介さん、グレイ役 榊原優希さん インタビューはこちら
 
洋画専門チャンネル ザ・シネマ
『ジュラシック・ワールド【ザ・シネマ新録版】』
放送日:2月23日(日・祝)夜9時~独占TV初放送
再放送:3月29日(土)昼12時~

⇒特設ページ
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ジュラシック・ワールド

 
【ザ・シネマ新録版 声の出演】
山寺宏一(オーウェン役 演:クリス・プラット)
園崎未恵(クレア役 演:ブライス・ダラス・ハワード)
戸谷菊之介(ザック役 演:ニック・ロビンソン)
榊原優希(グレイ役 演:タイ・シンプキンズ)
落合弘治(マスラニ役 演:イルファン・カーン)
田中美央(ホスキンス役 演:ヴィンセント・ドノフリオ)
加瀬康之(ウー役 演:B・D・ウォン)
関智一(ロウリー役 演:ジェイク・ジョンソン)
小島幸子(カレン役 演:ジュディ・グリア)
増元拓也(バリー役 演:オマール・シー)
ほか
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【ザ・シネマ新録版 スタッフ】
平田勝茂(翻訳)
日向泰祐(演出)
井伊直子(プロデューサー)