草尾毅さんが語る『シャザム!【ザ・シネマ新録版】』ここがすごい!特別インタビュー

シャザム!ザシネマ新録版

バットマン、ワンダーウーマン等と共通の世界観を持つ“DCエクステンデット・ユニバース”の一本ながらも、ユーモアあふれるコメディ・テイストで人気を集めた『シャザム!』が、2021年11月7日(日)(初回放送)にシャザム!【ザ・シネマ新録版】』として洋画専門CSチャンネル「ザ・シネマ」で放送されます。こだわりの吹替版放送“新録版第6弾”として、主演のザッカリー・リーヴァイの吹替えキャストに起用されたのが、彼の代表作「CHUCK/チャック」で5シーズンに渡って吹替えを担当した草尾毅さん。今回のインタビューでは、その草尾さんに、魏涼子さん、山野井仁さん、粟野志門さん、小野塚貴志さんの声優陣と演出・早川陽一さんら「CHUCK/チャック」チームが再集結した『シャザム!』について語っていただきました!……まさか、菅田将暉さんバージョンのオフィシャル吹き替え版についても聞けるなんて!
 
 
──まずは、最初に「CHUCK/チャック」(以下「CHUCK」)の吹替メンバーが再集結する今回の企画について聞かれたときの感想を教えてください。
 
草尾毅さん(以下:草尾):『シャザム!』が公開される前、僕は映画館で予告を観たんですね。そのときに、ザッカリー・リーヴァイじゃないか、キャラクターも割とチャックに近いコミカルな感じで、「これは日本語の吹替えは僕がやるのかな?」と楽しみにしてまして、うちのマネージャーにも「吹替版はどうなってるの?」「誰がやるの?」と情報をうかがってもらったりしていたんですけど、箝口令が敷かれているのか(笑)一向に教えてくれなくて。フタを開けてみたら……ああなるほど、そういうこと(注:映画監督の福田雄一が監修を務め、菅田将暉がリーヴァイ役の吹替えを務めた)だったのか!ということがありました(笑)。それで、作品が面白いのは分かっていたんですけど、劇場に観に行ったら絶対に悔しい思いをするだろうなと思って(笑)、観に行かなかったんです。
 
 少しね、「ちぇっ!」と思ったのが(笑)、今回こういうお話になりまして、だからその……一度スネてる気持ちと(笑)、改めてお話をいただいて嬉しいなっていう気持ちの両方があり、その後に「CHUCK」のメンバーも多数参加することになって、そこに嬉しさを感じたり、プレッシャーにもなったり……色んな複雑な気持ちで収録に臨みました(笑)。
 
──そこは複雑ですよね。一度自分の中で気持ちを整理したのにまた話が来るというのは。
 
草尾:なんというか、一度告白して振られたのに、「やっぱり付き合いましょう」って言われたみたいな(笑)。「今さら遅いよ!」という感じはちょっとありましたね(笑)。
 
──なるほど(笑)。「CHUCK」が完結してもう8年くらい経ちますが、久々にザッカリー・リーヴァイを演じられていかがでしたか? 演出を担当されたのも、同作をずっと手掛けてきた早川陽一さんですね。
 
草尾:今回の吹替えをやると決まったときに、気持ちを改めてソフトを自腹で購入しまして、吹替版も字幕版も何度も観させていただきました。最初はザッカリーが主演の、変身してヒーローになって、それで色々ドタバタが起こるような作品かなと考えたんですが、あくまでも主人公はビリーという少年で、変身した後の姿がザッカリーなだけで、中身は少年なんだっていうのが分かったときに、改めてビリー目線で観直すということもしました。確かに「CHUCK」と同じ演出家、声優陣が集まるということで、「CHUCK」を僕の頭から排除することもできないんですけど、でも、やっぱり全然それとは違うもうひとつの作品として捉えていく部分と、でもこれだけ「CHUCK」押しでくるってことは、チャック的な雰囲気もどこかに混ぜていった方がいいだろうな……というバランスもありましたね。
 
 あくまでもビリーが変身した後の姿として“ビリーの延長”として演じるべきなのか、それとも変身後はまったく別人格として演技するべきなのか? どんな演出や要求が来ても大丈夫なように、本当に色んなことを考えて準備して収録に臨みました。
草尾毅インタビュー 
──それでは、役作りとしてかなり難しかったのではないでしょうか?
 
草尾:台本チェックがやってもやっても終わらなかったです。膨大な情報量で、色んなことを気にしながらでしたから、その予習が大変でした。
 
──現場では、早川ディレクターとはどういう風に進めていこうと話されたんですか?
 
草尾:いつもそうなんですけど、僕は事前に色んな情報を知りたいタイプなんです。知らないで収録に臨んだほうがいいという方もいらっしゃいますが、僕は、監督が誰とか、この役者さんは他にどんな役をやってるんだとか、共演者の吹替えは誰がやるんだ?とか、それこそ今回だと菅田将暉さんがやった吹替版も全部観て、情報で頭でっかちにして臨むんです。しっかり把握して、そのまま終わる!みたいなこともあるんですけど(笑)。
 
 今回もそうやって収録に行って、でも実際いざ演じるとなった際には、それを“全部ナシ”にして、その気持ちで演じるというやり方でやっています。収録のときは一言しゃべり出す直前まではいっぱいいっぱいなんですけど、それがしゃべり始めたらまっさらな新鮮な気持ちになる。そんな気持ちでやらせていただきました。ましてや演出は、「CHUCK」でずっと一緒だった早川さんです。ある程度は何をやっても大丈夫、大船に乗ったつもりで、好き勝手ではないですけど、安心してのびのびと気持ちよく楽しんで収録させていただきました。
 
──今、菅田将暉さんのバージョンのお話が出たのですが、他の方が演じたものまで事前にチェックされているのが驚きです。劇場公開版吹替えはご覧になっていかがでしたか?
 
草尾:すごいなと思いました。僕らとまったく(演技の)切り口が違いましたから。菅田さんご自身のキャラクターも出しつつ吹替えをされていて、ビリーが変身する前と変身した後では“まったくの別人”という切り口で作られていると感じました。それが見事で、この菅田さんのお芝居が、僕の知らないザッカリー・リーヴァイのこんな一面があるんだということを教えてくれてすごく衝撃的で、勉強させていただきましたね。おかげで、菅田さんバージョンを意識しないようにするのが大変でした。自分の収録に向けて一回忘れないといけないんですが、それが大変なくらい強烈なインパクトがあって面白かったですね。
 
──そうだったんですね。確かに菅田さんの吹替えには、芝居の“勘”みたいなものが強く感じられますよね。
 
草尾:そうなんです。僕らも感じることがありますが、例えば人気のある漫画がアニメ化されたときに、最初は「声が合ってない」とか「雰囲気が違う」と思っていたのに、3ヵ月ほど観ているうちに「もうこの声しか考えられない」という風になることがよくありますよね? それと一緒で、最初観たときにはやっぱり菅田将暉さんの顔が浮かぶんですけど、途中から「こういう切り口で、こういう狙いで、こうやって演出しているんだな」と気がつくと、「うん、ありありあり! これはこれですごいや!」って変わったんです。評価されている俳優さんって、やっぱり違うんだなと思いましたね。それはすごい衝撃で、これは自分にはできないわ、すごい感性だなと思いましたね。刺激的でした。
 
──ありがとうございます。まさか今回新録された草尾さんから、菅田将暉さんのバージョンについてこんなに詳しく聞けると思っていませんでしたので驚いています(笑)。草尾さんは菅田さんとは別のアプローチで演じられたと思うのですが、やはり“ビリー少年の延長”という形で役を作られたんですね。
 
草尾:まずビリーという少年がいて、そこから発生しているものなんですけれども、ザッカリー・リーヴァイが“自分”を乗せている感じですよね。彼はどちらかと言うと、役に入っていくタイプというよりは、自分に役を引き寄せていく方が得意なんじゃないかな?という気がします。オリジナル版を観ていて、どこまでが台本通りでどこからがアドリブなのか分かんないところがあるんです。自分がセリフを言い終わっても、しゃべるのをやめたくなくて、その後にもまだなんか言ってる、みたいな。そういうところは吹替台本を作られている方も、日本語に起こすのにきっと大変だったんじゃないですかね?
 
 意識してやっていらっしゃるとは思うんですけど、すごい早口になったりとか。そういう細かい技が巧みにたくさん入っているので、「それを日本語で全部拾いきるのは無理じゃない?」というような部分もプレッシャーになったり、やりがいがあったり、楽しかったりするところですけど、そこはビリーを基にはしつつ、ザッカリーが乗せている部分なんじゃないかと思います。
 
 あと、これはご本人に会って確認した訳じゃないですから本当には分からないですが、恐らく、ビリー役の俳優(アッシャー・エンジェル)さんとすごくコミュニケーションを取って相談をして、ふたりであのひとつの役を作られたんだろうなと感じたんですね。その辺りの雰囲気も気を付けるようにしました。
 
──草尾さんは、恐らく日本で一番長く、そして深くザッカリーを見てきた方なんじゃないかなと思うのですが、彼の魅力はどういうところだと思われますか?
 
草尾:実際に会ったことはないので、どういう人なのかは想像でしかないんですけど、多分その現場の空気感やその作品の雰囲気、自分が相対する役者さんとの関係性みたいなものにすごく気を遣っていらっしゃる方なんじゃないかなと思うんですよね。絶えず「現場は楽しくあるべきだ!」と思っていて、細かいところに、とにかく盛り上げよう、楽しませようというサービス精神みたいなものがにじみ出ている方だと感じます。
 
 どんなにシリアスなシーンでも、「はい、OK!」という声が掛かったら、すぐに楽しい雰囲気を作るような。そういった人柄をお見受けできる。その辺りのニュアンスを何とか(吹替えする自分の)声に込められないかなと。そこを大切にしたいなと思っています。憎めないって言ったら少し語弊があるかもしれないですけど、それがザッカリーの魅力に繋がっているのかなと思いますね。
 
──そうですね、この映画はスーパーヒーローものですけど、コメディっぽいというか親しみがありますよね。
 
草尾:彼はすごく高身長(約190cm)でスタイルがいいじゃないですか。黙っていたらイケメンの部類に入るのに、しゃべると三枚目で、なんかちょっと可愛くて憎めない雰囲気というんですかね。茶目っ気があるところがすごくいいんです。だからそれが日本語吹替版になったときにも、ちゃんと損なわれずに伝えられたらいいなというのが、演じる上でのポイントだったりします。
 
 作品を観ていると、彼自身が自分の仕事を、作品を演じていることがすごく楽しくて嬉しいんだ、「俺は今最高の瞬間を楽しんでるんだぜ!」と感じているのがにじみ出てくるところがたくさんあるんですね。観ているこっちも嬉しくて楽しくなってくるくらいなので、そういった雰囲気を彼が持ってるんじゃないかなとすごく思います。
 
──ありがとうございます。ちなみに、この映画で特に印象に残っているシーン、お好きなシーンがあれば教えていただけますか? ザッカリーが出ているシーンでも違うシーンでも結構なのですが。
 
草尾:まずはCGと特殊効果のすごさをぜひ観ていただきたいなと思いますけど、真面目なシーンなのに、どこかちょっとクスクス笑っちゃうみたいなところがいいですよね。最初にビリーが魔術師に力を授けられるシーンで、変身するために「シャザムって言え」って言われて、「ダサっ! その名前言うの!?」って答えるという(笑)。
 
 その「ダサっ!」にクスクスするユーモアが凝縮されている、あの、杖を持ってシャザムって言うところですね。「名前を言え」って言われて「ビリー!」って自分の名前を言っちゃって、「違う、シャザムだ!」って言われて言い直して、やっと変身する。大げさすぎるスモークの中から光って出てくるじゃないですか、その辺のギャグなのか、シリアスなのか、狙ってる結果そうなのかよく分からないところが可笑しくて(笑)。
 
 ビリーがビルの屋上から走ってきて、飛び降りながら「シャザム!」ってカッコよく叫ぶシーンもあれば、敵から必死で逃げている途中で情けなく「シャザム」って言ったり、我慢できなくてトイレに駆け込んで「シャザム!」って言ったり……観てると、あの変身の呪文は色んなところで使えるんだって分かってくる。スーパーヒーローなんだけど、庶民的というか、スーパーヒーローじゃない一面を作っていけるのも、シャザムというキャラクターの魅力のひとつだと思いますよね。
 
 あのフザけてるのと紙一重な部分をどこまで膨らませていけるかというところが……って、急に思いついたので言っちゃいますが、とんねるずのおふたりが番組でやられていたコントに近い感覚かもしれないですね。すごく真剣にやっているんだけどコメディでパロディ、でも完成度が異様に高いじゃないですか。真剣さと遊びの微妙なさじ加減の面白さみたいなところが作品の大きな魅力で、それが「シャザム」という言葉に集約されている。色んな“変身シーン”が見どころだと思いますね。
 
──今回の新録版はザ・シネマで放送されますが、ザ・シネマは「この俳優なら、吹替えはこの声優で」ということにこだわって新録企画を展開されてきて、今回で第6弾になります。以前だと、放送される局が変われば吹替えが異なるのも当たり前でしたが、新録が少なくなった今の時代にこういう取り組みをされていることに対しては、どのような感想をお持ちですか?
 
草尾:今回こういった形で、『シャザム!』という作品に吹替版が2つ存在することになりましたが、それによって、両方観てみる楽しさや面白さが生まれたと思います。画面に出ているのは同じ俳優さんですが、声は違う人で、セリフの言い回しだったり芝居も微妙に違う、効果音や音楽はどちらも同じなのに、声や印象が少し違うだけで作品自体がまた全然違うものに見えるなんて、吹替版が大好きという人たちにとっては本当に大好物な企画だと思うんですよね。そういった楽しみ方、「吹替版っていうのも面白いんだなあ」ということが、一般の方にも浸透していく機会になるんじゃないかなと思います。
 
 「わんぱくフリッパー」だったり「名犬ラッシー」だったり、いわゆる子供向けの外国の吹替ドラマって、今よりも昭和の方が多かったですよね。そういう番組が僕の吹替えの原点なんですが、そういった子供が観られる吹替作品が今は減ってしまっていて残念なんです。だから、こうして1つの作品でも色んなバージョンのものを作って、ここが吹替えの楽しみ方のポイントなんだよって、もっと発信していければと思いますね。
 
 生配信じゃないですが、作品を吹替えた声優が集まって解説放送したりするのも面白いねって話したりするんです。実際に観ているお客様がチャットで参加したり、議論したりとか、そういった展開も面白そうですよね。歴史も長いけどまだまだ可能性もある吹替え文化というものが、今、さらに変わっていくための本当に入口にたどり着いているような気がします。今回のザ・シネマさんもそうですが、色んなバージョンの吹替えをたくさん作っていただいて、観る人に「どれを見ても面白い」「どれも観たい」っておっしゃっていただけるようになればいいなと思います。そうなれば、僕自身もたくさん観たいと思いますし、ちゃんと現場にも呼んでいただけるように日々精進していきたいですよね。
 
──ありがとうございます。アニメにも参加されていますし、ラジオパーソナリティや歌手としても多彩に活躍してこられましたが、外国映画の吹替えならではのやりがいやこだわりはなんでしょうか?
 
草尾:アニメやナレーション、それに朗読劇ですとか、声優の仕事としては色々あると思うんですけど、根本にある“演じる”というところで、自分の中では全部一緒だと思っているんです。ただその“出し方”が微妙に違うという点で、アニメにはアニメの魅力ややりがいがあって、外国映画の吹替えには吹替えならではの魅力があると思っています。
 
 もちろん、アニメも外国映画も“口を合わせなければいけない(=セリフをしゃべるタイミング・時間が決められている)”という制約があります。アニメの場合は。よく声優さんが「画に命を吹き込む」という言い方をされるのですが、僕は画に命を吹き込むのはアニメーターさんだと思ってるんですね。アニメーターさんが吹き込んだ命に、セリフ・声として性格や存在感を上乗せして、そのキャラクターをよりリアルなものにさせていく。それがアニメにおける僕らの仕事だと。
 
 そういった意味でアニメの場合は、アニメーターさんが作った画面の中に、いかに自分が入り込めるかを意識して演じていますね。画面の中の世界、例えば、森の中に自分がいる感覚を自分の細胞にどう再現できるかということがひとつのポイントだと思うんですけれど、吹替えの場合は、それに加えて向こうのオリジナルの俳優がお芝居をしてるじゃないですか。その芝居に自分の芝居を合わせる、口を合わせる以外に芝居を合わせる作業が、もう一段階あると思うんですね。
 
 だから、向こうの役者さんが「どうしてそういう表情をしてるんだろう? どう考えれば、そんなセリフで右を向くことになるんだろう?」ということを、自分だったらどういう気持ちの作り方をしたら、そこでそういう表情ができるんだろうか? どういう生き方をしたら、そこで右にあるものに気づくことができるんだろう?ということも考えながら、自分なりの感性とオリジナルの役者さんの芝居をどこまで合わせられるか……そういう世界、ひとつ段階が加わったものが吹替えにはあると思っています。
 
 ザッカリー自身にしても、「CHUCK」と『シャザム!』で似たようなシーンもあるんですけど、表現や動きが全然違うところが多々あります。そうした部分を事前に確認するのは本当に大変で、もう台本も見たくないって思うようなときもありましたけど、やっぱりやりがいがあります。役と長く付き合うことになる海外ドラマの場合だと、余計に面白いなあって思うポイントのひとつですね。
 
 演じることや吹替える魅力って、声優が50人いたら50通りありますし、どれが正解なのかも決められないと思います。あくまでも僕の個人的な意見ですけれども、僕はそこが吹替えの魅力のひとつだと思うので、演じる人の感性が違えば、出てくるもの、表現されるものが違ってくるという意味で、色んなバージョンの吹替版が存在するのは楽しいことだと思います。
 
 それに、吹替版が盛り上がる作品というのは、この俳優なら絶対にこの声優だと決めた方がいい作品もあれば、色んな方が吹替えることで楽しめる作品もあると思いますから、そういう作品をどんどん発掘していただいて、色んなバージョンを作っていただきたいですよね。僕らも、そこに刺激を与えられるような芝居やアプローチの仕方を模索していきたいと強く感じます。
 
──とても真摯なお答えをありがとうございます。ちなみにこの『シャザム!』ですが、2023年に続編が控えていますね。
 
草尾:そうですね、続編があるなら、やりますよ、はい(笑)。そうなってもいいように準備はしておきたいと思います。本当に機会があれば、ぜひやらせていただければと思います。
 
 『シャザム!』に限らず、ザッカリーは他にも作品が控えていますから、映画好きな人が色んなところで作品に出会ったときに、吹替えならではの魅力がちょっとでも伝えられるような仕事の関わり方ができたらいいなと、がんばっていきたいなと思いますね。制作スタッフの方にも、前向きにキャスティングを検討していただけるように(笑)。
 
──それでは、最後となりますが、放送を楽しみにされている皆さんに、見逃せないポイントとあわせてメッセージをよろしくお願いします。
 
草尾:元々今回の新録のオファーをいただいたのも、「CHUCK」という作品でザッカリー・リーヴァイの吹替えを僕が担当させていただいていたことがきっかけになっていると思うんです。ですから、『シャザム!【ザ・シネマ新録版】』を楽しみにされている方の90パーセント以上は、僕が吹替えたチャックというキャラクターを知ってる方だと思うんですね。もちろん、僕自身もチャックを意識しないでシャザムを演じるというのはなかなか難しかったので、皆さんもチャックを意識しないで『シャザム!』を観るのは難しいと思います。
 
 でも、チャックありきで最初は観てくださっても、それは単にきっかけであって、見終わったときにはチャックのことはすっかり忘れて、『シャザム!』という、本当にまた新しいザッカリーの魅力を引き出す作品が、皆さんの中に記憶されるという状況になってほしいですし、また、そうなるように僕らもがんばったつもりです。
 
 本当に、隅から隅まで見どころが満載の作品なので、楽しみにしていただきたいです。そして、新しく吹替えることで、同じコンテンツがこんなに違って面白くなるんだということを周りの方にも伝えていただきたいですし、これからも応援していただきたいなと切に願います。
草尾毅インタビュー「CHUCK/チャック」キャストが結集!左から草尾毅さん、山野井仁さん、粟野志門さん、魏涼子さん 

(取材・構成:村上健一)

 
 
草尾毅インタビュー【草尾 毅 プロフィール】
埼玉県出身。アニメ「鎧伝サムライトルーパー」で烈火のリョウ役を演じブレイク。声優ユニット“N.G.FIVE”を結成し、音楽アーティストしても活躍。代表作に「SLUM DUNK」の桜木花道役や「ドラゴンボール」のトランクス役など。洋画吹替ではレオナルド・ディカプリオなどを担当。海外ドラマ「CHUCK/チャック」では5シーズンに渡ってチャック役ザッカリー・リーヴァイの声を担当した。
 


 
シャザム! 【ザ・シネマ新録版】
→ 番組ホームページ
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
出演:ザッカリー・リーヴァイ (草尾毅)
アッシャー・エンジェル (林勇)
ジャック・ディラン・グレイザー (村瀬歩)
マーク・ストロング (加藤亮夫)
ジャイモン・フンスー (山野井仁)
グレイス・フルトン (福原綾香)
マルタ・ミランス (魏涼子)
アダム・ブロディ (小野塚貴志)
D・J・コトローナ (粟野志門)
→ 新録版の制作経緯は「飯森盛良のふきカエ考古学」にて!