飯森盛良のふきカエ考古学

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勝手にフィンチャーの舎弟宣言!~『エイリアン3』『ゴーン・ガール』そして『ゲーム』~

フィンチャー。今やハリウッドを代表する監督となりましたが、ワタクシ、彼との出会いは不幸なものでした…。彼のデビュー作『エイリアン3』。92年に映画館まで行きましたよ。『2』が大好きで、少年週刊ジャンプの巻頭でメカ解説していたのを何度も読み返し、88年の正月にTBSで新春特別ロードショーとしてオンエアされた鈴木弘子リプリー、屋良有作ヒックス伍長、堀勝之祐ゴーマン中尉という珍しいバージョンを何度も何度もVHS三倍録画で見て、まさに待望の『3』だったのに…ガッカリだよ!というのは、リアルタイム当時は結構ささやかれた評判でした。

飯森盛良のふきカエ考古学

ちなみにウチでは9月、『エイリアン:コヴェナント』にあわせてエイリアン全作を放送。もちろん幸田直子さんのふきカエも全部やります。さらに、あの剛力彩芽さん版『プロメテウス』や、大御所声優陣が集った『AVP』等も網羅しての総力特集!特設サイトも作ったのですが、そこで映画評論家の尾崎一男先生が「今こそ、この映画は評価の再考が望まれる作品だと断言しておきたい」と太鼓判を押されているのが『エイリアン3』なのであります。サイトを読めば「そこまで言うんだったら、もっかい見直してみよっかな」と思ってしまう、必読の評説です。

ただ、92年公開当時はアンチだったんですねえ。ニュートとヒックス伍長がノッケからああなってこうなるとか、「はぁ!?」と17歳のワタクシは怒り心頭だったのです。青かったなぁ…。そして怒りの矛先がフィンチャーに向かった。『セブン』の時は劇場行きませんでしたね、ボイコットですよ。「まだ許す気にならねえ!信用おけねえ!」とか言って。青い青い!結局見たのは98年のゴールデン洋画劇場ででした。ジョンドーが小川真司さん。サイコパス感ハンパなかった。ブラピが真地勇志さん。ツッパってる若造感ハンパなかった。このバージョンで地上波で見て一発で「参りました!」ですよ。白旗。以後、勝手に「師」と仰いで今日に至る。

そこからの三連チャンは凄かったな!あの栄光の90年代を共に過ごした同世代の君なら解ってくれるだろ?『セブン』(95)、『ゲーム』(97)、『ファイト・クラブ』(99)と立て続いた、あの興奮の日々を!まぁ、02年の『パニック・ルーム』でちょっとブレイクタイムってな感じにはなったが、とにかく14年の『ゴーン・ガール』に至るまで、基本、全部良い!ウチ洋画専門チャンネルなので関係ないけど『ハウス・オブ・カード』も超良い!石塚運昇さん良い!あ、そういやウチで11月には『ゴーン・ガール』もやるんだった。森川智之vs加藤有生子ふきカエ版ももちろん放送します。あの時のロザムンド・パイク、映画の女キャラの中で2番目ぐらいに好みだわ。1番は子供の頃から一貫して『エイリアン2』のバスケスだが。

飯森盛良のふきカエ考古学

閑話休題。奇跡の『セブン』(95)、『ゲーム』(97)、『ファイト・クラブ』(99)三連チャンのうち、実は『ゲーム』、そう、あのド直球の傑作スリラーである『ゲーム』だけが、何とトールサイズのDVDが出ていないってご存知?CDケースと同じ正方形サイズのものしか売られてない。DVDが普及したての頃はこのサイズのソフトも出回ってたけど…。でもAmazonだと新品で¥6,604、中古で¥5000ぐらいします。

何を隠そうワタクシ、三連チャンの中でこの『ゲーム』が一番好きなのです。熱狂を持って迎えられた『セブン』、信者的マニアを生んだ『ファイト・クラブ』、この2作はほっといても良さが広く知られているでしょう。でも『ゲーム』だけは、中身ではなく知名度で見ると、1ランクも2ランクも劣ってしまう。一番面白い(とワタクシが勝手に個人的に主観と独断で思っている)のに!たぶん、この十全とは言えないソフト化状況が大きいのではないでしょうか。

飯森盛良のふきカエ考古学

ということで、ザ・シネマがやらねば誰がやる!不肖ワタクシ、発掘してきました!それを例によってHD化してお送りします(ザ・シネマHDにご契約の方には)。主役マイケル・ダグラスは当然ながら小川真司さん。そして弟のショーン・ペン。今やクルーニーと並ぶ物申すリベラル俳優の二巨頭です。この頃はまだデビュー時の「スピコ~リ君!」的チャラ男感がギリで残っていた最後の時代で、本作でもそういうポジションなんですが、それを賢雄さんがアテている。この頃ですとまさにビバヒルのスティーブ感ですよ、“イアン”ことアイアン・ジーリング扮演の。謎めいたヒロインを演じるデボラ・カーラ・アンガーは日野由利加さん。お、今度はバレリーか。デボラ・カーラ・アンガーも好みのタイプですな。

残念!中身まで紹介するには字数が足りない。先が読めない系、大・DON・DEN返し系のサスペンススリラーの中では、いちおうプロの端くれとして映画関連業界の末席を汚す身として、ベスト!の太鼓判を押させていただきます。お見逃しなく!

ザ・シネマ作品詳細ページ
⇒特集『エイリアン』シリーズ完全解説
⇒『エイリアン3 [完全版]』詳細ページ
⇒『ゲーム』詳細ページ

『ゴーン・ガール』© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
『ゲーム』©1997 POLYGRAM FILMED ENTERTAINMENT,INC ALL RIGHTS RESERVED