- 2025.2.22
- インタビュー・キングダム
ザ・シネマによる吹き替えファンのための特別企画“ザ・シネマ新録版”。
2025年、第9弾となる新録版はスティーヴン・スピルバーグ製作総指揮のメガヒット恐竜アドベンチャー『ジュラシック・ワールド』を、主人公オーウェン役(演:クリス・プラット)に“声優界のレジェンド”山寺宏一をはじめ園崎未恵、戸谷菊之介、榊原優希ら豪華吹き替えキャスト出演で制作!
2/23(日・祝)夜9時より独占TV初放送!
その放送に先駆けて、危機に巻き込まれる兄弟、ザック(演:ニック・ロビンソン)とグレイ(演:タイ・シンプキンズ)を吹替えした戸谷菊之介さん、榊原優希さんにお話しを伺いました!長編アニメ『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』でも兄弟役で吹替えをされていたお2人。実写映画の吹替えは初めてという戸谷さんと、『ジュラシック・パーク』からこのシリーズが大好きだったという榊原さん、息の合ったお2人へのインタビューをぜひお楽しみください。
⇒『ジュラシック・ワールド ザ・シネマ新録版』特設ページ
Q:今回演じられた役について、ご自身との共通点はありましたか?
戸谷菊之介さん(以下:戸谷さん):自分自身との共通点では、家族に対する接し方の部分が、今回演じたザックに近いかと思います。思春期の感じと言いますか、家族に対してだからこそ雑に扱ってしまう部分は、少し気恥ずかしいですが、似ているなと思いました。そういった所も含め、最初のシーン、弟のグレイに対して少しきつく当たってしまう部分は演じやすかったです。
榊原優希さん(以下:榊原さん):端々から滲み出る優しさがすごく戸谷さんらしかったです(笑)。
戸谷さん:ありがとうございます。この『ジュラシック・ワールド』を通じて、ザック役を楽しんで演じて、かつ、ピンチとなるシーンでは一緒に乗り越える感じもありました。とても熱かったですね。すごく楽しかったです。
Q:榊原さんはいかがですか?
榊原さん:そうですね、共通点という部分では僕にもありました。演じたグレイというキャラクターは自分が好きなことはたくさん調べて、その知識を自身の中に詰めていって、「本当にこうなんだ」となるキャラクターだと思いますが、すごく自分に似てるなと思いました。僕自身も好きなことがあったら、そのことについてたくさん調べます。特に自分の中でブームが来るとその傾向が上がりまして、最近免許を取ったのですが、車の事を調べ出したら止まらなくなりました(笑)。世界で一番高級な車ってとか、一番大きな車ってとか、気になって調べています。同期の声優とラジオの帰り道とか歩きながら、「あれって○○の車だ」「あれ、○○だ」とか、つい話していますね。グレイと同じことをしてるなと感じました。
Q:収録が終わっていかかでしたか?
戸谷さん:榊原さんと一緒に収録が出来たということは大きかったです。楽しく掛け合いをすることが出来ましたし、『ジュラシック・ワールド』という素晴らしい作品に参加出来ているという、高揚感を持って吹替えに臨むことが出来て、すごく良いものになったのではないかと思います。本当に楽しく演じられましたし、最高でした。
榊原さん:収録が始まる前から、本当に楽しみで仕方なくて。小さい頃からこの『ジュラシック・パーク』シリーズの一連の作品が大好きで、弟と一緒に、母親に「もう何回観てるの」って言われるぐらい観た作品です。最初の『ジュラシック・パーク』シリーズが終わって、「その新作(『ジュラシック・ワールド』)が出るの?」と、喜び勇んで劇場に駆けつけたあの作品の吹替えをしたんだ、という例えようのない感覚です。収録も別の現場でもよくご一緒している戸谷さんと一緒ということで、リラックスして、兄弟役をやらせていただきました。もう本当の兄弟のようです(笑)。本当に夢心地でした。
Q:今回、新録版には山寺宏一さん、園崎未恵さんも参加されています。
榊原さん:山寺さん、園崎さんのお2人の、(すでに収録された声を)聴きながら、そこに掛け合う形で、テストをしたりしてみて、やはり皆さんからの緊迫感というか、声でシーンを構成される力に圧倒されました。自分をいつでも引っ張っていただけるし、ついつい聴き惚れて、(自分の出番に)出遅れてしまったりしました(笑)。「素敵な演技やな。あ、自分(の出番)や」みたいな感じになってしまいました(笑)。それぐらいのめり込んで、そして引っ張ってもらうことが出来て、すごく良い経験になりました。
戸谷さん:山寺さん(の演技が)、すごくかっこよくて、シーンの終わりで思わず「かっこいい」の声が出てしまうほどでした。そのぐらい、聴き入ってしまいました。
Q:刺激になるところもありましたか?
戸谷さん:実写の吹替収録が初めてでした。緊張していたのですが、榊原さんと一緒の収録ということで、少しほぐれました。(山寺さんや園崎さんの)声を聴いて演じられたので、テンションが上がりました。刺激を得たこともですが、本当に勉強になりました。
榊原さん:(戸谷さんの演技は)聴いていて、すごくザックでした。(戸谷さん:本当ですか?)それこそ、戸谷さんのザックは吹替えということを忘れるぐらいすごくぴったりで。まだ未熟な部分もあるけど、心は優しいお兄ちゃん、という感じがすごくしました。
戸谷さん:ありがとうございます。(榊原さんの)グレイ役にも同じことを言えますね。
榊原さん:すみません、ちょっと求めたみたいですね(笑)。
戸谷さん:(笑)無邪気感や、元気に恐竜に興奮してるシーンは、まさに榊原さんにピッタリだなと(榊原さん:やった!)思いました。
Q:今作は10年前の作品になりますが、出演が決まる前から榊原さんは作品を観られていたとの事ですが、戸谷さんはいかがでしたか?
戸谷さん:公開当時、周りの方々が観に行っていたので、作品はもちろん知っていましたが、実は観たことがありませんでした。(収録前に)作品を観たのですが、面白い、なんで観ていなかったんだろうという気持ちになりました。すごい作品でした。2015年でこのクオリティの映像もすごいと思いましたが、話の構成も面白い。僕はホラー映画が好きなのですが、ホラー映画的な見せ方もあり、すごく好きな作品になりました。
榊原さん:全作観てほしいです。
戸谷さん:帰ったら全作観ると思います!
Q:榊原さんにお伺いします。作品の印象は?
榊原さん:僕は、10年前の『ジュラシック・ワールド』の公開当初もそうですけど、それまでの『ジュラシック・パーク』の 1作目から3作目を何回も観ていたわけですよ。(『ジュラシック・パーク』は)3作目までで続きは無いのかってやさぐれていました(笑)。
そうしたら、2015年に(『ジュラシック・ワールド』の)CMや予告編が始まったのですね。実際に観るとなったら、やはり不安感があるじゃないですか。すごく大好きで、偉大だった『ジュラシック・パーク』シリーズがあり、その新作、となった時に、全然違う作品になっていたらどうしようとか、本当に前作を超えてくれるんだろうか?って思っていたら、すべて期待に応えてくれていました(笑)。新しい要素もありつつ、本当に今までのシリーズを観ている人であれば、あの時の車だとか、あのシーンのオマージュだとか、そういうシーンが凄まじい数、散りばめられていました。自分にとっては神作品です。
Q:アニメのアフレコのご参加が多いかと思いますが今回実写の吹替版ということで、収録に臨む準備等で違いはありましたか?
戸谷さん:実写の吹替えが今回初めてだったので全くわからない部分もありました。まずは(アニメの)アフレコと同じように台本に(映像内に表示される)タイムを書きこみしました。アニメと違う部分では、原音の俳優の声がどういうニュアンスなのかをメモしたことですね。
榊原さん:ディレクターの日向(泰祐)さんから、戸谷さんと僕に情報量の部分の説明をいただきました。実写映画では、画面からの情報量が多い、その情報量に対して、例えば簡略化されているアニメーションと同じ様に、情報量の多い演技を載せてしまうと、情報過多となって、違和感が生まれてしまう。だからあえて削ぐ演技も必要ということも大切だと。
戸谷さん:オリジナルの映像ではカメラに向かって演技していることもあるから、オーバーに演じると、そこでも違和感になってしまうこともあるとおっしゃっていました。そういった部分をお教えいただいて、すごく勉強になったので良かったです。
榊原さん:僕も実写の吹替え経験がたくさんあるわけではないので、いただいたアドバイス、その情報量のお話はすごく参考になりました。実際に実践しようとすると、情報量を入れすぎて、もう少し削いでもいいかもという、ディレクションをいただいた時もありました。収録してみて、なるほどこういうことなんだと思いました。
やはり原音があるというのは、アニメのアフレコと違うところだなと思いました。実際にオリジナルを聞くと、そうか、このセリフはこんな温度感なんだとか、顔ではすごく演技しているけど、意外と声色は普通に話しているなとか、そういった差異に気付きました。その違いがあってこそのシーンなんだとか、そういったことを考えられました。その差異も考えないといけないということが原音がある外画と、それがないアニメとの違いなのかと思いました。
Q:付随して役作りっていう意味で準備していったことはありますか?
戸谷さん:ザック役でいうと、1番核になるのはやはり弟のグレイとの関わり方が劇中でお話しが進んでいって変わっていくところだと思いました。最初のシーンではまさに思春期という部分が見えましたので、自分の思春期を思い出して演じたり、その後に(劇中の)「ジュラシック・ワールド」を無邪気に楽しむシーンや、後半に進むにつれて、グレイに対して、彼が不安がっているのを元気づけたり、そういった暖かさの表現では、大きく差をつけるわけではないですが、最初と最後で変わっていく部分があるということは、意識をして演じたところです。ザックもグレイに対して元気づけようとしているけど、実はザック自身も怖がっているということに、それはそうだなと気付いた部分もありました。
榊原さん:(ザックの)あの未熟さが、いいですよね。
戸谷さん:ザックを演じている俳優のニック・ロビンソンさんもかっこいいですよね。山寺さん演じる主人公が「俺がアルファだ。」と言うシーンで、ザックがニヤっと笑うところがあるのですよね。そこで1つ彼のキャラクターをさらに掴めた気がします。かっこいいものにはワクワクする少年の中にある、子供っぽさが残っているというのをすごく感じました。
Q:グレイはどうですか?
榊原さん:そうですね、僕はやはり自分の実年齢と役の年齢がかなり離れているので(笑)。でも、かけ離れていると思いすぎて、自分が子供って思いこみ過ぎると、子供になりすぎる部分が出てきてしまうと思いました。アニメーションだったら子供を強調しても良いかもしれませんが、やり過ぎてしまうと子供らしさを強調し過ぎたキャラクターになってしまう気がして、それをやってしまわないようにしようと心に決めて備えました。だから子供ということを意識から外す気持ちで作りました。最初はもう少し子供らしさがあってもいいよと言われこともありましたが、そこを調整しなかったら、子供になりすぎていて、それこそ情報が多くなり過ぎたかもしれないです。グレイという1つの人格を意識する、そんな覚悟と調整で演じることが出来てよかったです。
Q:字幕と吹替えの違いってセリフ等の情報量だと思いますが、吹替えならではの面白さだなというか、見所があったら教えてください。
榊原さん:字幕だと、(字幕を)目で追うことで自分の間になってしまう瞬間があると思いますが、吹替えだとテンポよく、作品の中に笑いの部分があるとすると、そこでのギャグに絡んだりするボケの部分や、クスッと笑えるようなパートがすんなり入ってきますよね。字幕を読む時間のラグがあったり、(読んでいると)その瞬間の表情が見られなかったりするけれど、吹替えならリアルタイムで、そのスピード感ありで、クスッとくるシーンの役者さんたちの顔も見られて、その声も聞くことが出来て、すごく面白いんじゃないかなと思います。
戸谷さん:顔を見ていられるのは良いですよね。
榊原さん:そうですよね。字幕を見てしまう瞬間があると見られないですから。
戸谷さん:声優が声を当てていないシーンでも、色々な表情をしていらっしゃいますので、そういった部分も見る事ができます。
榊原さん:字幕を追っていたら、先ほど戸谷さんがおっしゃったザックのニヤっとする顔を見られていなかったかもしれないですし。
Q: 普段映画をご覧になられる時は字幕派?吹替え派?
榊原さん:割と気分によって選ぶことがあります。吹替えを出しつつ、字幕も表示させたりしますね。
このシーンは吹替えだとこのように訳されているけど、字幕だと違うのかということがわかったり。意外と差異がありますよね。原音だとこうだけど、そのまま日本語に直すと通じないから、こんな風に訳すのかとか。それぞれのバージョンの差を面白いなと感じて、観ていることが多いです。
戸谷さん:榊原さんの観方も非常によくわかりますね。自身では字幕で観ることが多いですかね。洋画の俳優の演技を見たいという意味で字幕で観るというのもあるのですが、吹替えでこの声優さんが出演されているというのが気になったら吹替えで観るという感じです。この役者さんの演技を見たい、この声優さんの声を聴きたいというように分けて選んでいます。
Q: 新録版を見る方へのメッセージをお願いします。
戸谷さん:初めての実写吹替えだったもので、僕も早く完成版を観たいです。『ジュラシック・ワールド』はすごく面白い作品ですし、僕も榊原さんもこの吹替え収録を経て、すごくいいものが出来上がったと思っています。ぜひ、ザ・シネマで観ていただいて、一緒に『ジュラシック・ワールド』の世界を楽しんでいただけたらと思います。
榊原さん:吹替えに参加してみて、改めて本当に素敵な作品だなと噛みしめることが出来た、そんな収録になりました。自分たち以外の方々の吹替えを、聴いて「しびれるぜ」「かっこいいぜ」と感じたり、「面白い」っていうシーンがたくさんあるので、ぜひぜひたくさん楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。戸谷さんが吹替えしたザックは、最高にザックでした。注目してくださいね。
戸谷さん:ありがとうございます。榊原さんのグレイもすごく可愛かったです。
榊原さん:すみません。求めたみたいで(笑)。
戸谷さん:この兄弟、すごく良かったと思います。一緒に収録出来たのも本当に嬉しかったです。
榊原さん:ありがとうございました!
皆さん、ぜひご覧ください!
→ 主人公オーウェン役 山寺宏一さん インタビューはこちら
洋画専門チャンネル ザ・シネマ
『ジュラシック・ワールド【ザ・シネマ新録版】』
放送日:2月23日(日・祝)夜9時~独占TV初放送
再放送:3月29日(土)昼12時~
⇒特設ページ
【ザ・シネマ新録版 声の出演】
山寺宏一(オーウェン役 演:クリス・プラット)
園崎未恵(クレア役 演:ブライス・ダラス・ハワード)
戸谷菊之介(ザック役 演:ニック・ロビンソン)
榊原優希(グレイ役 演:タイ・シンプキンズ)
落合弘治(マスラニ役 演:イルファン・カーン)
田中美央(ホスキンス役 演:ヴィンセント・ドノフリオ)
加瀬康之(ウー役 演:B・D・ウォン)
関智一(ロウリー役 演:ジェイク・ジョンソン)
小島幸子(カレン役 演:ジュディ・グリア)
増元拓也(バリー役 演:オマール・シー)
ほか
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【ザ・シネマ新録版 スタッフ】
平田勝茂(翻訳)
日向泰祐(演出)
井伊直子(プロデューサー)