BS10 スターチャンネルにて吹替版独占放送!ドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』日本語吹替版制作秘話を伺いました!

オードリーヘプバーン
BS10 スターチャンネルにて、色褪せない魅力で今なお世界中から愛され続ける映画スター、オードリー・ヘプバーン初のドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』が、2022年9月17日(土)より独占プレミア放送されます。
 
豪華レジェンド声優陣集結の日本語吹替版も9月18日(日)より独占初公開!
⇒スターチャンネル作品ページ
 
この日本語吹替版制作に携わった、株式会社スター・チャンネルのお2人、(ふきカエルではふきカエレビューの「アンソニー」として、もうお馴染みとなられた)福吉健さんと、(スターチャンネル「激レア地上波吹替版」特集の際にも貴重なお話しを伺った上原行成さんにインタビューを行いました!
 
さらに、オードリー・ヘプバーンを吹き替えした、池田昌子さんからもお話しを伺っております( →こちらから )!
 
ドキュメンタリー映画では異例の劇場興行収入1億円を突破した大ヒット作の吹替版をぜひお楽しみください!
 
 
ふきカエルインタビュー:映画『オードリー・ヘプバーン』日本語吹替版制作者:福吉健さん、上原行成さん
 
Q:ドキュメンタリー映画での吹き替え版制作につきまして、制作に至った経緯をお話しいただける範囲でお教えいただけますでしょうか?
 
福吉健さん(以下:福吉):劇場公開用の字幕版を社内関係者で試写した時に、場所・地名・人の肩書・登場人物のセリフ、劇中に出てくる映画の中のセリフなど、字幕の洪水が重なるところが何か所かあったので、日本語吹替版をつくるべし!ということになりました。
 
Q:今回、日本語吹替版制作に加わった上原さんに期待された部分はどんなところでしょうか?
 
福吉:スターチャンネル唯一の高度専門職(東北新社、スターチャンネルにはこういう職位はありません。前にいたテレビ朝日にはありました。ですので私の頭の中では上原さんのことを、そう思っています。)の職人芸です!
 
Q:スター・チャンネルの名作映画の新録吹替版の制作に携わられてこられた(ふきカエルファンにはすでにお馴染みの)上原さん、これまでされてきたお仕事と今回の吹き替え制作への意気込みをお教えください。
 
上原行成さん(以下:上原):私の仕事は、日本語版制作に係る素材の調達から制作指示、完パケ(「完全パッケージ」※完成品)納品までの一連の業務です。通常は劇映画&ドラマシリーズの日本語版の制作が中心で、時々ドキュメンタリー作品を新規翻訳から制作することもありますが、もっぱら字幕版での制作でしたので、今回初めてのドキュメンタリー作品の吹替版(厳密にはボイスオーバー吹替版)制作に携わることになりました。
一般的にドキュメンタリー作品は、さまざまな人々がインタビューに答え、当時の資料映像などが多数散りばめれ、コメントやナレーションが隙間なく続く上に、さまざまな文字キャプションが示されるため、字幕版で観ると、休む暇なく字幕を読まざるを得ず、非常に疲れます。
一方、吹替版にすれば、そのストレスを大幅に軽減することができますし、字幕よりももっと多くの情報を喋ることができるので、内容もより分かり易くなります。ですので、私としては、ドキュメンタリー作品を吹替版で制作してみたいという気持ちが以前からありましたので、念願が叶って非常に楽しみでした。
 
Q:池田昌子さんの収録はいかがでしたか?
 
福吉:私自身は吹き替えというより、(以前の別の)インタビューの立ち合いで1回だけご一緒できました。本当にオードリーが自分の前にいてお話になっていられるような、幸福感に包まれた錯覚にとらわれた至福の時間でした。
 
上原:池田昌子さんにお目にかかるのは初めてでしたが、上品で謙虚で、何よりも、とてもチャーミングなお人柄だったのが印象的でした。オードリーの吹き替えといえば池田昌子さん、という定評がありますが、アフレコが始まって実際に池田さんの声がスピーカーから流れたときは、感慨深い気持ちになりました。
この作品は、オードリー・ヘプバーンの生涯を、オードリー自身の様々な時代の発言を交えながら、自ら振り返る形式で作られた作品なのですが、吹替版のアフレコ現場では、まるで池田さんがこれまでに声優として演じてきた中で感じてこられた様々なオードリーへの思いを、一つ一つ噛みしめながらセリフに乗せていらっしゃるように感じられたのが、とても印象に残っています。それはまるで、池田さんご自身が自らの長きにわたる声のお仕事を振り返る姿のようにも思えて、オードリーと池田さんがまさにシンクロするように感じられた、貴重なひと時でした。
 
Q:今回はドキュメンタリー作品ということで、一般の方も登場します。そのような俳優ではない登場人物を吹き替えするということで、配役に気を使われたところはありますか?
 
福吉:一般の人を普通に演じてもらうのって意外に難しいと思います。ですので敢えてベテランの方々に演じてもらうことでしょう。
配役は上原さんの案を見せてもらい、これなら文句なし!と太鼓判を押しました。私が現役の時のお世話になった方々でしたので、それだけでも懐かしかったです!
 
上原:配役はディレクター(東北新社/清水洋史氏 ※清水さんもふきカエルファンにはお馴染み)に一任しました。
インタビューで登場する人々は全体的に年齢が高いこともあり、必然的にベテラン声優の方々をキャスティングさせていただくことになりました。昨今のコロナ禍における感染防止対策の中で、アフレコ現場でも以前のように全員集合して収録するスタイルは難しくなり、小人数ごとのグループで時間帯を区切って収録するスタイルになった今、同じ作品でありながら、声優さん同士もなかなか顔を合わせるチャンスがない、という寂しい現実が常態化している面があります。
そんな中で、ベテラン声優の方々を同じ時間帯にスケジュールして、待合いスペースなどで久しぶりにご一緒にお話しできるようにしたと、あとで清水さんから聞きました。素晴らしい心遣いだと感心しました。ひと時の同窓会のような雰囲気で歓談されているベテラン声優の方々の姿を拝見しながら、清水さんと一緒に微笑ましい気分に浸ったのものでした。
 
Q:ドキュメンタリー作品と、アクションやラブストーリーなどのいわゆる一般映画では吹替版制作に違いはありますか?
 
福吉:内容上は現実と非現実の差がありますが、視聴者に字幕でない、情報を吹き替えで伝えるという点では同じと私は思っています。
 
上原:ドキュメンタリー作品にもいろいろなタイプがあると思いますが、『オードリー・ヘプバーン』のようなタイプの作品では、発話者は基本的に淡々と喋りますので、緩急・動静という幅のある演技を要求される面は少ないかもしれません。しかし、その一方で、淡々とした中にも、喜怒哀楽のニュアンスの変化をつけるという難しい面もあるのではないか、と思います。あと、この作品は吹替版といっても、ボイスオーバーのスタイルで制作しました。原音がバックに薄く残っているスタイルです。この場合、発話者の口パクと吹き替え音声のシンクロに厳密にこだわらなくても違和感が出にくいというメリット(?)があるように感じます。
 
Q:福吉さんはこれまで、テレビ朝日「日曜洋画劇場」のプロデューサーとしてご活躍をされてきましたが、吹替版のキャスティングについて、本作も含め、注意した点はありますか?
 
福吉:9月の「ふきカエレビュー“アンソニーの吹替え事件ファイル”」でも触れたのですが、作品によっては勝負に出なくてはならないエンタテインメント作品には「お祭り」的な豪華吹き替えキャスティングで揃えてみることもあります。一方、本作は久々に池田さんがオードリーを吹き替えにチャレンジするというだけで、ファンを裏切らないキャスティングだと思います。
 
Q:上原さん、配役は演出の清水さんにご一任されたとのことですが、この声優さんは絶対起用したかった、という方はキャスティングできましたか?
 
上原:メインのオードリーに関しては、映画ファンにお馴染みの池田昌子さんに是非ともお願いしたい、というのは制作関係者一同にとってのスタート地点でしたので、池田さんにご快諾いただけて本当に嬉しく思っています。キャスティングに関しては、私の基本的な希望は、「キャラクターに合う」ということです。その点については、現場での経験と知識に裏打ちされたディレクターの“見立て”を信用してお任せする、というスタンスです。この作品でも、そのようにキャスティングしていただきましたが、皆さんピッタリとハマっていらっしゃると思います。ただ、通常の映画作品やドラマ作品では、主要登場人物に関しては私から事前にキャラクターのイメージを伝え、複数名の候補を出していただき、その方々の中から最終決定させていただく場合もあります。
 
Q:オードリー・ヘプバーン主演の作品でお好きな作品はありますか?
 
福吉:『ローマの休日』(1953)や『おしゃれ泥棒』(1966)、『ティファニーで朝食を』(1961)など相手役の方々の声優さんとの掛け合いが素晴らしい作品たちです。
 
上原:『シャレード』(1963)ですね。ミステリー、サスペンス、ユーモアの絡み具合が絶妙で、オチも素晴らしい。私はケイリー・グラントのファンなのですが、他にもジェームズ・コバーン、ウォルター・マッソー、ジョージ・ケネディというクセの強い面々も魅力的です。テーマ曲もいいですね。
 
Q:今回の作品から一旦離れていただき、お好きな吹替版作品はありますか?1本でなくても構いません。吹き替えファンにおすすめしたい作品がありましたら、ぜひお教えください。
 
福吉:『ゴッドファーザー』(1972)の日本テレビ版、『大脱走』(1963)のフジテレビ版、『プラトーン』(1986)のテレビ朝日版、『バーバレラ』(1986)のテレビ東京版、『シャーロック・ホームズの冒険』(1970)のTBS版です。
 
上原:私は特に吹替映画ファンというわけではないのですが、パッと頭に浮かぶのは『エイリアン』(1979)です。『エイリアン』は私の大好きな映画の一つですが、なぜかフジテレビ版を何度もテレビで観た記憶があり、私の中ではリプリーは野際陽子さんがFIXです。
 
--ぜひ、スターチャンネルさんでおすすめ作品の特集を組んでください(笑)。
 
Q:今回の映画に戻っていただき、『オードリー・ヘプバーン』の吹き替え版制作で苦労した点はありますか?
 
福吉:本作のような作品では、オードリーと池田さんがシンクロして見えるところが多々あるため、本作の中のオードリーの心情を、池田さんが単なる声を当てているだけではないという部分をどう伝えなくてはならないか、もポイントだったような気がします。
 
上原:準備段階として悩ましかったのは、完全吹替版として制作するか、あるいは、字幕処理するシーンと吹き替えるシーンの混在するスタイルで制作するか、後者の場合、どういう基準でその仕分けをするか、ということでした。
制作サイドとも意見交換をしながら、結果的に「混在スタイル」で制作するのがベストという判断に至りました。検討のポイントは、「いかに文字を読むストレスを軽減させられるか」と「さまざまな形式で登場するオードリーの声をどう処理するか」。後者のポイントは意味が分りづらいと思いますが、例えば、アカデミー賞の授賞式でのスピーチ映像、出演した映画作品の中の1シーン、インタビューに答えている映像、声だけのナレーション、など、さまざまなタイプのオードリーの「声」があり、かつ、その時のオードリーの年齢もまちまちです。
これをどう処理するのがよいだろうか、ということです。果たして我々の判断が正解だったかどうか、ご覧になった視聴者の方々の判断に委ねるしかないのですが、、。
 
Q:あらためて、いつもふきカエルサイトを訪問する方、初めてふきカエルサイトへ来た方へ日本語吹替版の魅力をお伝えください。また、スター・チャンネルに加入すると、その魅力ある吹き替えはどのように楽しめるのでしょうか?この作品をきっかけに加入された方、これから加入される方に向けてお願いします。
 
福吉:字幕だけでは伝えきれない情報量(登場人物の心情・心の機微まで)を視聴者の方々にいかにわかりやすく、飽きさせず、初めて吹替版を見る子供でも、「外国の人なのに日本語がうまいね!」と思わせるくらいの魅力が第一です。字幕では映画評論家の大先生に評価されなかった作品が、吹替版で一転、評価されるケースを私は何度もみています。
 
上原:私は近年、古い地上波放送版の吹替版を観ることが多く、その魅力にあらためて気づかされました。吹き替えの黎明期から地上波で数多くの洋画作品の吹替版が放送された1990年代あたりまで、当時は当たり前に放送されていたものが、今あらためて魅力的に思えます。
今でこそ“花形”の職業となった声優ですが、黎明期には顔出しの役者よりも一段低く評価されていたという話なども書物で読んだことがありますが、そんな中で、「オリジナルよりももっと面白く魅力的にしよう」という気概と遊び心で奮闘した声優や制作スタッフの方々が大勢いらっしゃったという話などを知るにつけ、その“プライド”や“プロフェッショナリズム”には感動を覚えますし、そうやって自分たちで新しい地平を切り開くことができた時代を生きられたことに羨望すら感じます。
古い吹替版を観ると、そんな熱気を伝わってくるような作品に沢山出会うことができます。たまには、古い吹替版もご覧いただき、“古き熱き時代”の息吹に触れてみると、人それぞれに新しい発見があると思います。
 
--吹替版専門のスターチャンネル STAR3では、旧作放送も充実されていますね。 ⇒スターチャンネル番組表
 
Q:最後に映画『オードリー・ヘプバーン』吹替版の見どころ、ここは聴いて欲しいをお教えください。
 
福吉:この作品こそ、池田=オードリーの集大成と言える、入魂の一作と言っても過言ではないでしょう!
 
上原:語弊を恐れずに敢えて個人的な感想を述べると、「ドライな字幕版」に対して「エモい吹替版」、という仕上がりになったと思います。「原音VS日本語吹き替え」という以外にも、吹替版ならではの工夫を施した箇所がいくつかあります。両バージョンを見比べていただくのもオツではないかと、そのように思っています。
 
--ありがとうございました!
 
 
STAR CHANNEL MOVIES 『 オードリー・ヘプバーン 』
独占プレミア放送
放送日時:
【STAR1 字幕版】9月17日(土)夜9時~
【STAR3 吹替版】9月18日(日)夜9時~、23日(金・祝)昼1時~
監督:ヘレナ・コーン
出演:オードリー・ヘプバーン:声)池田昌子
アンナ・カタルディ(イタリアの人権活動家/ジャーナリスト):声)沢田敏子
ミタ・ウンガロ(家族ぐるみの友人だった女優):声)高島雅羅
アンドリュー・ウォルド(オードリーの数少ない親友の1人だったコニー・ウォルドの息子):声)楠見尚己
ピーター・ボグダノヴィッチ『ニューヨークの恋人たち』(1981)の監督、ピーター・ボグダノヴィッチ:声)秋元羊介
リチャード・ドレイファス(オードリー最後の出演作である『オールウェイズ』(1989)で共演):声)樋浦勉
ショーン・ファーラー(オードリーの息子):声)谷昌樹
エマ・ファーラー(オードリーの孫):声)佐藤里緒
 
ハリウッド黄金期の映画スター、オードリー・ヘプバーンの知られざる素顔に迫る、2020年イギリス制作のドキュメンタリー。初主演作『ローマの休日』でアカデミー主演女優賞を受賞。輝かしいキャリアの一方、私生活では本当の愛を得られない苦悩も抱えていた。貴重なアーカイブ映像やリチャード・ドレイファス、ピーター・ボグダノヴィッチ監督ら映画関係の仲間、近親者たちのインタビュー映像を通じて1人の女性の人生が鮮やかに浮かび上がる。
 
【字幕版】関連特集:『オードリー・ヘプバーン』独占プレミア放送記念!傑作10選
『麗しのサブリナ』『ローマの休日』『おしゃれ泥棒』『いつも2人で』『噂の二人』『昼下りの情事』『パリの恋人』『マイ・フェア・レディ』『シャレード(1963)』、オリジナル番組『オードリー・ヘプバーンAtoZ』
【STAR1 字幕版 】9/17(土)午後3:45~一挙放送
【STAR2 字幕版 】9/18(日)~9/21(水)夕方4:40頃~4日連続放送 ほか
 
 
【BS10 スターチャンネル】
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