ダークボのふきカエ偏愛録

#70 流浪の番組「シネマクラッシュ」

『JAWS/ジョーズ2』BSテレ東版、ご覧頂けましたか?
情報をリリースした途端、ふきカエ新録のニュースは一瞬 Yahoo!トップにもピックアップされ、以降の俺のツイートもかつてない勢いでリツイートされました。SNS上に寄せられたコメントはほとんどが好意的な内容(ありがとうございます)だったんですが…。
テレビの視聴率というのは難しいもので、ネットでのバズり度とはなかなか一致してくれません(「午後ロード」なんか、反比例するという説すらあり)。
BSの視聴率は非公表なので具体的には言えませんが(ちなみに地上波のデータもみだりに取り沙汰してはいけないのですよ)、『ジョーズ2』は正直パッとしませんでした。悪くもなかったけど。
放送前、ツイッターの俺のアカウントには「新録ありがとうございます!録画します!」というリプライを多数頂きまして、それはそれで嬉しいんだけど、リアルタイムで観て頂けない限り、視聴率にはなりませんからね。ともあれ、奇跡的に生まれた新録ふきカエですから、録画でも楽しんで頂ければ幸いです。

『ジョーズ2』のふきカエ収録時には既に決まっていたんですが、BSテレ東「シネマクラッシュ」は、この4月から、毎週日曜夜6時55分~の放送になります。
水曜から月曜に移って、たった1年でまたお引越し。何だかもう、流浪の番組ですわ。

そんな「シネマクラッシュ」は、実は2000年12月のBSジャパン(現BSテレ東)開局時から21年続く、この局で最長のレギュラー番組であります。

スタート時は、毎週月~金曜の夜9時からという、(枠だけで言えば)「午後ロード」のゴールデン版みたいな帯番組でした。何しろ週5本、制作を請け負ったテレ東「映画部」のメンバーが手分けして担当してましたが、その一人だった俺の当時の本業は「木曜洋画劇場」のプロデューサー。こちらは木曜夜9時~で、つまり俺は表裏の番組を作ってたわけです。ありえねー。
夜9時には日テレさんの「金曜ロードショー」もありましたから、地上波とは放送作品で差別化を図ろうということで、当時テレ東が出資ビジネスで得意としていた、シブヤ系ミニシアター作品を中心にラインアップ。『髪結いの亭主』とか『アメリ』とか『バッファロー’66』とかね。この手の作品の権利への出資は、その10年前から俺が担当していたので、言わば資源の有効活用です。ただしふきカエではなく、字幕版で放送してました。
当初はとにかくトンガって行こうということで、番組表全体がそんな感じでしたが、民放BSの視聴者が右肩上がりで増えるにつれて、次第に地上波ライクな番組編成に。「シネマクラッシュ」も週5から週3、週2と枠が減り、結局週1になって、番組内容もフツーの「ふきカエ洋画劇場」になりました。
一方で地上波からは映画番組が次々に姿を消して行き、「木曜洋画」も終了。結果的に地上波の「洋画劇場」のレガシー番組となった「シネマクラッシュ」は、ふきカエと前解説という伝統のスタイルにこだわって、現在に至るわけです。

日曜夜で新装開店の「シネマクラッシュ」は、4/17(日)の『家族はつらいよ2』からスタート(たまに邦画が混じってくるのも「洋画劇場」っぽいでしょ?)。

ダークボのふきカエ偏愛録ふきカエ洋画の放送は、4/24(日)の『激流』から始まります。
大女優メリル・ストリープが筋肉を蓄えてアクションに挑んだサスペンス、これもある意味「家族はつらいよ」ってことで。ふきカエは、あえてソフト版(メリル・ストリープ=池田昌子さん)でお送りする予定です。

ダークボのふきカエ偏愛録続いて5月には、『マッドマックス』『マッドマックス2』『マッドマックス/サンダードーム』が登場。
できたてホヤホヤの4K版で初放送します。『2』と『サンダードーム』のふきカエはいろいろありますが、3週連続ということで、すべてメル・ギブソン=安原義人さんのバージョンでお送りする予定。

続けられるのはいいんだけど、こうコロコロ枠が変わっちゃあ、視聴者も定着しないよね。
このオンデマンド時代、毎週決まった時間に、局が選んだ映画を観てくれ、という方が無理かもしれませんが、たまたま事故的に出逢った映画が、一生忘れられない体験になることもあるはず。
観たいものしか観ないオンデマンドでは得られない、そういう出逢いの場を提供したくて、これからも「シネマクラッシュ」はお節介を続けていきます。
 

[作品画像はAmazon.co.jpより]
※Amazonのページで紹介しているDVD・ブルーレイ等のソフトは、今回紹介する日本語吹替え音声を収録しておりませんので、ご購入等の際はご注意ください。