飯森盛良のふきカエ考古学

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キミはスターチャンネル名物LD版ふきカエ発掘を知っているか!? 俺はノータッチだけどね、の巻

ワタクシが古巣ザ・シネマを離れ、ノマドとなりて、この場において「ふきカエ界のロイ・バッティ」を自称し始めて、早3年。ここの「ふきカエ考古学」のロゴもいい加減変えてもらわんとな、と言い続けて3年です。

以来、ヒョコヒョコいろんな所でいろんな事にイッチョ噛みしてるのですが、ノマドとは名ばかり。むしろ逆に行動の自由が大きく制約される、私権制限下の3年間でした…。

かつては、ふきカエ費とか番組制作費とか宣伝販促費とかが1年分入った財布を、春先に財布ごとポ〜ンっと保護者から渡され、「無駄遣いするなよ? 1年間計画的に使え? 何買うつもりか大体でいいから最初に説明しろ?レシート見せろよ?」と保護者から言われはするものの、後は自由裁量!独断で好き勝手やれた、という、しがないサラリーマンとしては実に恵まれた境遇でしたわ。結局、自由=カネなのよね。

今や、私自身はお財布を持ってないですからね!カネ使う際にはつどつど人に“おねだり”する格好の、Back to the 小学生状態ですよ!! 思いつき→即・大人買い、ジャストアイデア即ジャストDo It! とはいかなくなった。

そしてそう遠くないいつの日か、完全作動停止の日を迎える…。しかし、その短い製造寿命に納得いかぬと抗って暴走する、自称「ふきカエ界のロイ・バッティ」となりて、早3年なんですよ。レクサス6型の製造寿命は4年、そろそろヤバいな…。

なお、ロイ・バッティが何だか分からんという人は、ザ・シネマふきカエ新録版が収録されてる『ブレードランナー ファイナル・カット』 日本語吹替音声追加収録版 ブルーレイ ¥5,990+税をお買い上げください。

で、スターチャンネルさんに拾ってもらい、ふきカエ『OK牧場の決斗』(を含む激レアふきカエ発掘SP)やったり、古巣ザ・シネマのいま財布持ってる人におねだりして『ハドソン川の奇跡』新録版作らせてもらったりと、あれこれ手伝ってるのですが、今回はその、スタチャンさんの宣伝です。

お手伝いするようになってからワタクシも知ったのですが、スタチャンさんではレーザーディスク版ふきカエの発掘、なんて取り組みを、長年されてたんですね!みなさん知ってました?これは偉業!

今はちょうど『天地創造』のLD版ふきカエを発掘してきてTV放映する、ということをやっている最中。

ディノ・デ・ラウレンティスという伝説の大プロデューサーが製作した、聖書ものの映画でして、原題からして「ザ・バイブル」!むかし私が作ってた『町山智浩のVIDEO SHOP UFO』という番組 (youtu.be/_j_-sZUVftI?t=604)で町山さんが語られてましたが、「世界で一番売れてるベストセラーって何!? と聞いて、聖書じゃない?と言われたから、じゃあそれ映画化しよう!と言い出し『聖書』という映画を撮っちゃった!」という、えらくデタラメな経緯で作られた大作です。

ただ、これを私は確か1991年8月16日(WIki情報)の金曜ロードショーで初めて見たと思うんですけど、高1の時にこれを見れて、人として大収穫でしたわ!あの頃はTV洋画劇場で『ベン・ハー』やったり『十戒』やったりしてて、勉強になったんですよね、最低限の聖書の知識の。今の子たちはそういう出会いってあるのかな?ほんと、逆に、豊かな時代でした。メディアに今ほど選択肢は無かったけど、選択肢があったら子供は好きこのんで『十戒』や『天地創造』見る?それを見ない人生と見てる人生、どっちが豊か?って話ですよ。

でですね、LD版の方の話。私も今回が初見で、これ驚いた!アダム小川真司、イヴ榊原良子、カイン(リチャード・ハリス)江角英明、アベル(フランコ・ネロ)田中信夫、ノア(ジョン・ヒューストン)久米明、アブラハム(ジョージ・C・スコット)北村和夫、そして神の使い(ピーター・オトゥール)家弓家正という、物凄いどころの騒ぎじゃないメンツ!こんな音源が“LDと共に去りぬ”状態なんて、文化の損失!今回のサルベージは偉業!!

飯森盛良のふきカエ考古学

LD発掘というのは、ワタクシからは絶対出てこなかった企画ですな。ワタクシの場合、少年時代のTV洋画劇場へのノスタルジアが、TV映画屋としての発想の源になっておりますもので。ソニーハンディカムの「少年時代」by 井上陽水のCMを、少年時代の思い出としてこの歳になって懐かしむ、という、ノスタルジア入れ子構造世代ですんで。あと『テレビ探偵団』をテレビ探偵団式に懐かしむ、という。「そんな未来が実際に来るかもよ?」という一コマ漫画を、やくみつるか誰かが、どっかのTV誌に90年頃に描いてたな、ってことまで、懐かしく思い出しちゃったぜ。

自分が十代の頃に実家で見たTV洋画劇場の懐かしい音源を発掘してきて、80〜90年代気分にもう一度ひたりたい、という極私的欲求から、ワタクシ、テレビ探偵団スピリッツで仕事してる訳であります。で、自分より一個上の/下の世代にも、同じような人はいるだろうなと、その人たちの心情は理解できるので、70年代〜ゼロ年代までは守備範囲を広げられますけど、ソフト版をやろうとは、ワタクシの企画としては、思わないですね。懐かしくないから。

だって、TV洋画劇場のはVHSに3倍録画して、セリフを覚える/聞けば蘇るぐらいには何十回も見たけど、レンタルビデオって1回しか or 多くても数回しか、借り来て見はしないでしょ?全然懐かしくなくない!?

えっ、ダビングして繰り返し見てたって!? オイそれ違法だから!

あと機内上映版もワタクシはやりませんね。ノスタルジアが無いんで。同じ理由から、ふきカエ“補完”版的な企画もね。

むしろ、前後には当時の各解説者のパートを付けて、映画途中にはマドラス・モデーロとかいすゞジェミニとかアイレディース化粧品とかレナウンとかのCMをVHS3倍画質で差し挟み、次週以降の予告を最後に見せた上で、「あなたのハートには…」とか「いや〜映画って…」とか「サヨナラサヨナラ…」の決めゼリフで〆て、月曜を予感させる暗鬱な曲を流してFinish! まで、そっち方向に“補完”かけたいぐらいだわ!

話がズレた。ただですね、LDってのは、レンタルしてくるよりも買って所有する、主としてセル商品なので、当時それを持っていて何度も見て、今、再生ハードウェア自体が無くなって見れなくなっちゃってるって人は、少なからずいるはず。そういう人にとって、ソフト版とはいえLD版は「ノスタルジア」でしょうよ。懐かしいはず。これは、ワタクシ的には完全に盲点でしたね。

スタチャンさんではずいぶん前からLD版発掘をやられていて、『大陸横断超特急』、『フレンチ・コネクション』、『パットン大戦車軍団』、『ポセイドン・アドベンチャー』、『砲艦サンパブロ』なんて名作タイトルを過去やってきたのだとか。「おおお〜!!」としか言いようがないラインナップで、旧20世紀FOXの作品ばっかりですな。

というのも、FOXさんだけは「LD用ふきカエ」なんてもんを積極的に制作していたらしいんですよ。もちろんノーカット音源なので“補完”版を作る必要も無し(いや、私個人はカット版でむしろ全然いいんですけどね)。いやぁ、旧FOXさんって、帝王に即位する前から偉かったんだなぁ!

昔、『天地創造』のLD持ってたんだけどもう何年も聞けてない、という方は、録画保存マストの今回の放送です。また、当時LDを持っておらず聞いたことも無い、という方(俺含む)にとっても、レジェンド声優大挙出演による貴重な機会。2021/7/5(月)と7/16(金)と7/28(水)にも放送があるとのことで、見れる方は、是非!
『天地創造 [ノーカットレーザーディスク版]』→ スターチャンネル 作品詳細ページ

このLD企画担当のスタチャンの人は、今後も続けていきたいと、当時のLDを集めたりしてますんで、この企画には引き続き、期待しましょう。

追伸:そうそう、ふきカエ界のロイ・バッティ、ついに最期の力をふりしぼって、雨の中ボクサーパンツ一丁で手に釘をぶっ刺して意識を保ちながら、狼の雄叫びを上げる段階に、いよいよ突入してまいります。この秋、残された我が総力を結集して、乾坤一擲、ロイ・バッティのバルジ大作戦を発動する覚悟です(『バルジ大作戦』をやる訳ではない)。ワタクシが大反攻作戦に打って出るということは、やることは一つしかないのですが、一つではなくそれを複数やろうとしてます。俺の、オリオン座で燃える宇宙船、俺のタンホイザーゲートのオーロラを見る瞬間が、ついに訪れたようだぜ!…なんのこっちゃか分からんと思いますが、次回、具体的にお知らせできるかと。乞うご期待!! ここのロゴも次回から変えてもらうかも!?

『天地創造』© 1966 Twentieth Century Fox Film Corporation.