- 2015.2.2
- コラム・キングダム
- ダークボの吹替え偏愛録
〈007連続放送〉やってます!
前回のコラムの最後にもったいぶって予告した“大型企画”とは、「シネマクラッシュ金曜名画座」でこの1月からスタートした〈007連続放送〉のことでした。
いつかやってみたかったこの企画、第1作『ドクター・ノオ(007は殺しの番号)』から順番に、毎月2~3本ペースで放送していきます。折しもBSジャパンでは(ふきカエではありませんが)「土曜は寅さん!」で、〈男はつらいよ〉シリーズを連続放送中。映画史上に輝く2大長寿シリーズが金曜・土曜の夜に並走するという、ものすごいことになっております。
007シリーズと言えば、ノーカット全編のふきカエが収録されたブルーレイ、TV版ふきカエの音声を集めて収録した労作DVDも発売中ですが、BSジャパンでは極力、往年のTV版ふきカエにHD映像を合わせる形で放送するつもりです。
俺は初めて劇場で観た007が『私を愛したスパイ』という世代ですから、ロジャー・ムーアより前の初期作に出逢ったのは、すべて「水曜ロードショー」か「月曜ロードショー」なんですよ。今回の連続放送は、あの頃の洋画劇場スタイルにこだわります(解説は付きませんが)。おかげで『ゴールドフィンガー』(2/6放送)にはミス・マネペニーが登場しない(初回放送時にカットされたらしく)、といった悲しい現象もあったりしますが、そういうところも含めてお楽しみ頂きたく。
3月までお送りしている〈ショーン・コネリー編〉のジェームズ・ボンドは、もちろん若山弦蔵さんです(ジョージ・レーゼンビーが1本割り込みますが。こちらは広川太一郎さん)。
若山さんがテレビでショーン・コネリーをアテられたのは、「木曜洋画劇場」が最後じゃないかな?
『アンタッチャブル』のエリオット・ネス(ケヴィン・コスナー)を津嘉山正種さんで新録しようと思い立ち、若山さんにとってはフジテレビ版に続いて二度目のジム・マローン役をお願いしたのが、俺の“生・若山コネリー”初体験でした。それならこれも、とお願いしたK・コスナー版『ロビン・フッド』新録でも、ピンポイント出演(これもフジ版に続いて二度目)を引き受けて下さり、次はまた全編出演を、と若山コネリーのために『エントラップメント』の放映権を押さえたところで、人事異動で番組を離れてしまいました。それでも「木曜洋画」チームは俺の“遺言”通り『エントラップメント』の新録を実現してくれて、これが今のところ、最後の若山コネリーではないかと。
ショーン・コネリー本人は引退を宣言していて新作がありませんが、ラジオ等でも現役バリバリの若山さんには、また何らかの企画でコネリー役を聴かせて頂きたいものです。
…と書きながら記憶が蘇った『アンタッチャブル』の現場には、忘れられない声がもう2人おられました。
1人は、007の『死ぬのは奴らだ』『黄金銃を持つ男』にも登場したクリフトン・ジェームズを再びアテて頂いた滝口順平さん(もうあの顔には他の声は考えられなくて)。そしてもう1人は、マローンと殴り合いを演じる警察署長役の、大塚周夫さんです。
前回のコラムでは、昨年末に亡くなった方々を悼みましたが、新年早々の大塚周夫さんの訃報には茫然自失…。大塚さんは、たかだか100本程度のふきカエ制作歴で、光栄にも頻繁にお仕事の機会を頂いた大御所の1人でした。以前このコラムでも紹介した『ブレイド』シリーズでの父子共演や、わが“卒業制作”だった『ウォルター少年と、夏の休日』(こちらを参照)など、思い出がいっぱい。この正月に、大塚さんがジョン・ハートを怪演された木曜洋画版『コンタクト』がテレビ東京で再放送されて、狂喜乱舞した直後の悲報でした。
今年もこういう話題が続くのかな…。
思えば今回は、テレビ業界で言うところの「M3」になって最初の更新です。
やんちゃな日々の記憶も薄れはじめ、(池田勝さんの声で)「年寄りにはキツいぜ」とボヤきながら書いているこのコラム、いつまで続けられるかわかりませんが、2015年もよろしく。
(湿っぽくなってすみません)
[作品画像はAmazon.co.jpより]