- 2019.6.1
- コラム・キングダム
- 吉田Dのオススメふきカエル
『王を称えよ』
2月の当コラムで『キャプテン・マーベル』の吹替えキャストを予想した結果は大ハズレだったわけですが、その時にもうひとつ、 “『運び屋』のイーストウッドはもしや多田野曜平さんでは?” とも予想してたんですよね。そしたら…
ちょっとあなた!大当たりじゃないですか!
おまけに“最後に残った○○吹替えはマッドマックスFR”てなネタを書いたら飯森辣腕プロデューサーがホントに新録しちゃうし、なに俺は『ブルース・オールマイティ』なの?望んだことは何でも実現しちゃうの?よーしじゃあ次はアレとアレを新録してあと五千億円くださ(ピー)
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
5月31日より全国ロードショー公開中
監督:マイケル・ドハティ
出演:カイル・チャンドラー ベラ・ファーミガ
配給:東宝
→ 公式サイト
日本が生んだ怪獣王ゴジラをハリウッドが映画化した「GODZILLA ゴジラ」(2014)のシリーズ第2作。前作から5年後の世界を舞台に、モスラ、ラドン、キングギドラなど続々と復活する神話時代の怪獣たちとゴジラが、世界の覇権をかけて戦いを繰り広げる。また、それによって引き起こされる世界の破滅を阻止しようと、未確認生物特務機関「モナーク」に属する人々が奮闘する姿を描く。
閑話休題。
このひと月ほど世界中に吹き荒れた “アベンジャーズ旋風”の勢いもやまぬうちにもう一本、文字通りの“モンスター・ムービー”が登場します。その名はゴジラ。ハリウッドでは1998年のローランド・エメリッヒ監督版(通称“エメゴジ”)、2014年のギャレス・エドワーズ監督版(同じく“ギャレゴジ”)に続く三度目の映画化で、今回メガホンを取ったのは俊英マイケル・ドハティ監督。となると略称は“ドハゴジ”か?
前作のギャレゴジ、ついこないだと思ってたら拙コラムで取り上げたのがもう5年も前なんですねえ。その時点で既に本作の製作は決まっていて「次回作にはラドンとモスラとキングギドラが登場する」という情報は伝えられておりましたが、まー正直われわれマニアとしてはやや眉唾モノだったわけですよ。そりゃ出てくればうれしいけど、期待しすぎてもしガセネタだったらショックが大きいですから。
そんな “新作に接するときは期待値のハードルを極力下げておく” というゴジラファンの悲しい性が良い意味で裏切られたのが、2017年に公開された『キングコング:髑髏島の巨神』エンドクレジット後のおまけシーン。未確認生物を調査する特務機関「モナーク」の会議で、地球にはキングコング以外にも未知の巨大生物が存在することが明かされたのです。その証拠として示された壁画には巨大な恐竜、翼竜、羽を広げた蛾、そして三本の首を持つドラゴンの姿が。え、これどう見てもアレとアレとアレとアレじゃん!これから出てくんの?全部?!
ゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラが初めてスクリーンに勢ぞろいしたのは1964年公開の『三大怪獣 地球最大の決戦』でした。それから半世紀以上を経て、日本が誇る最強の怪獣軍団がハリウッドの最新技術でよみがえるのですから、これは期待するなというのが無理な話。前作の“ギャレゴジ”で唯一残念だったのは本編中に占めるゴジラの登場シーンがイマイチ短かったことで、ファンは「ああっそこもうちょっと見せて!」と客席で悶絶したのですが、2作目となる本作でドハティ監督は「出し惜しみはしません!」と明言。前作でお披露目が済んでいる以上もう勿体を付ける理由もなく、四大怪獣が全編にわたって大暴れするわけです。わくわく。
人間側の主要キャストはカイル・チャンドラーとベラ・ファーミガ。もちろん我らがケン・ワタナベも前作から引き続き芹沢博士を演じています。そしてもう一人、芹沢の助手ヴィヴィアン・グレアム博士を演じるサリー・ホーキンスも前作から続投。彼女の場合はその合間に主演した『シェイプ・オブ・ウォーター』が見事アカデミー賞を受賞したのに加え、同時期に公開された『パディントン』シリーズにも出演していて、ゴジラに半魚人に喋るクマとよっぽど人外に縁があるんでしょうなあ。
オリジナル版である『三大怪獣 地球最大の決戦』はゴジラシリーズの5作目で、ゴジラ率いる地球怪獣チームが“外敵”であるキングギドラと戦うというストーリー。それまで人類への脅威であったゴジラが、明確に “正義の味方”として描かれた初めての作品でした。対してハリウッド版のゴジラは前作のギャレゴジから一貫して “地球上のあらゆる生物の王” であり、人類の存在とかあんまり気にしてないっぽい。こちらがミサイルを撃とうが爆弾を落とそうが「あンだようっせえなあ」ぐらいで歯牙にもかけず、倒すべき敵(前作ではムートー)に立ち向かっていきます。前出の特務機関モナークもさすがにその辺は気がついているようで、予告では芹沢博士が「我々が彼のペットになるのだ」と発言していました。「怪獣=神」という視点で描かれる本作で、神々たちの戦いを前に人類が生き残る余地はあるのでしょうか?
同時公開される吹替え版で主要キャストを演じるのは田中圭、木村佳乃、芦田愛菜といった面々。木村佳乃さんは以前に『ジュラシック・ワールド』2部作でも主要キャラを吹替えていて、デカい生き物を相手にするのは慣れてらっしゃることと存じます。芦田愛菜さんは私も二度ほど吹替えの現場でご一緒したのですが、まあ上手い上手い。以前やはり天才子役と歌われたダコタ・ファニングが「彼女は実はCGで中にメリル・ストリープが入ってる」なんて言われてましたが、本当にそんな感じ。かつて『パシフィック・リム』でカイジューから逃げ惑っていた少女が、成長して再び巨大生物と相対すると思うと感慨深いものがありますね。そして主役を演じる田中圭さん、吹替えは初めてだと思いますが、大ヒットしたドラマ『おっさんずラブ』で相手役だった吉田鋼太郎氏もまあある意味怪じゅ(ピー)
本作は『GODZILLA ゴジラ』『キングコング:髑髏島の巨神』に続き、ワーナーが展開する “モンスターバース”シリーズの3作目。その2年後にはついに“王”と“神”が対決する『Godzilla vs. Kong』が控えています。子供のころ昭和のゴジラシリーズに声援を送っていた世代として、この歳になってもまだ“ゴジラ映画の新作”にわくわくできるなんて、なんと幸せなことでありましょうや。皆様におかれましては、劇場で咆哮するゴジラの雄姿に涙ぐんでいるオッサンを見かけたら、どうか温かい目で見守っていただけますようお願い申し上げます。
三大怪獣 地球最大の決戦 <東宝Blu-ray名作セレクション>
→ Amazonページ
ところでハリウッド版だとザ・ピーナッツの役は誰が演るんだろう