- 2022.6.1
- コラム・キングダム
- ダークボの吹替え偏愛録
#71 レジェンド降臨、どうする俺?
まいったなあ。
これまで約10年、ジジイなのをいいことに、知った風なことばかり書き散らしてきたのに、今頃になって、あのアンソニー大先輩が降臨されるとは! 俺のことは「日本語版プロデューサー界の出木杉君」なんて、いかにもテレ朝なドラえもんネタでいじってくるし。もう何も言えねぇ。
少し前のこのコラムで、今時の若者は各局がふきカエを競作していた時代を知らない、という愚痴を書いたけど、SNSで「金曜ロードショーみたいな番組が他局にもあったなんて想像もできない」なんて書き込みを見て、何をどう伝えればいいのか、ますますわからなくなった。
俺がテレ東に入った頃(昭和ですよ)は、在京民放キー局すべてに「映画部」があって、プライムタイムの「洋画劇場」を運営していた。
各局の「映画部」は、けっこう交流してたんですよ。みんなで野球をしたり、屋形船に乗って宴会したり。何しろ取引先の映画配給会社も、ふきカエの制作会社も、ほとんど同じだからね。仲良く情報交換(談合ではない)してました。
でも時代と共に、映画への向き合い方は局によって異なるようになり、たまに顔を合わせても同じ土俵で話せることが少なくなって。
まあ同じ土俵と言っても、そもそもテレ東は、他のキー局とは扱う作品のレベルが違ったけどね。どこもやらない(のでふきカエが存在しない)B級映画や未公開映画を数多く放送してたから、ふきカエの制作本数は他局を軽く凌駕してたけど、ことメジャーな作品については、他局のお下がりを使わせて頂くばかりで。
その点では、自分のふきカエ知識は視聴者の皆さんと変わらないわけで、一方そこを知り尽くしてるのがアンソニー先輩ですから。今後のコラム、俺も有難く拝読します。
さて、4月のお引越しでテレビ激戦区に殴り込みをかけたBSテレ東「シネマクラッシュ」(毎週日曜夜6時55分から放送)。
日曜となるといろいろあって(選挙とかね)お休みも多く、邦画もあって、もはや「洋画劇場」とは言い難い雰囲気になりつつありますが、とりあえず向こう2ヶ月のおすすめふきカエを。
6/5(日)は、『ザ・シークレット・サービス』。
クリント・イーストウッド92歳!の誕生日(5/31)を祝って、御大が俳優業に専念した大ヒット作を。御大の役どころは“老骨に鞭打って”大統領を守るSSだけど、あれからもう30年、ジジイ芸を続けてるわけで、まったく御大には敵いませんな。
今回はテレビふきカエではなく、あえてソフト版でお送りします。何しろ御大の声は山田康雄さんだから!(テレ朝版の野沢那智さんもいいけどね)。
6/26(日)は、『ウォーターワールド』。
これについては散々書いてきたので仔細省略。もちろん、ケビン・コスナー=津嘉山正種さん、デニス・ホッパー=内海賢二さんの「木曜洋画」版です。
7/3(日)は、『ナイト&デイ』。
この日はトム・クルーズの60歳!の誕生日。還暦かよ! 7月4日だったらよかったのに、惜しい!
改めて観ると、ワンダーウーマンことガル・ガドットも出てたのね(ふきカエは水落幸子さん!)。
トムの声はもちろん森川智之さんですが、このふきカエはどうもややこしい成り立ちのようなので、放送までに確認しておきます。
7月は他に、『ダンテズ・ピーク』も。
ピアース・ブロスナンのふきカエは、007の時は神谷明さんが好きで(「探偵レミントン・スティール」の流れでね)、昔「木曜洋画」で『ゴールデンアイ』を放送した時はあえてソフト版を使ったくらいなんだけど、この映画に限っては、テレ朝版の田中秀幸さんを推したい。
ちなみに以前「木曜洋画」で放送した際、子役のふきカエだけ矢島晶子さんで追録したという説がネット上で語られてたようだけど、してませんから。実際はかないみかさんなのに(声を聴けばわかるだろう)、配給会社から預かったテレ朝版の台本の香盤表には矢島さんとあったので、そのまま「声の出演」テロップを出してしまったというお粗末でした(当時の番組担当は俺です。すみません)。
おそらくテレ朝版の制作時に何か事情があって、収録直前に矢島さんからかないさんに交代したものと思われ。真相をご存知でしたら教えてください>アンソニー先輩!
[作品画像はAmazon.co.jpより]
※Amazonのページで紹介しているDVD・ブルーレイ等のソフトは、今回紹介する日本語吹替え音声を収録しておりませんので、ご購入等の際はご注意ください。