- 2021.4.1
- コラム・キングダム
- ダークボの吹替え偏愛録
#64 いよいよヤバいかも。
2月に放送した『ある日どこかで』新録版はいかがでしたか?
自己満足と言われればそれまでだけど、もはや黄昏る一方の「テレビふきカエ」の意地を見せたつもり。
その後、新たなふきカエ新録企画は動き出していませんが、あれからBSテレ東では、テレビふきカエ並みに面白い『燃えよ!ピンポン』のDVD版ふきカエや、『ブルース・ブラザース』のバブルガム・ブラザーズ版を掘り起こしたり、『ランボー』シリーズを4Kレストア版で放送したりと、ほんの数か月間に人知れず手間のかかる仕事が続いて、もうヘロヘロ。
なぜこんなに映画が渋滞していたかと言うと・・・この4月の改編で、BSテレ東のふきカエ映画枠が半分になっちゃったからです。
具体的には、毎週水曜夜5時58分からお送りしていた「水曜映画館」が強制終了。
BSテレ東(BSジャパン)開局時から20年続く「シネマクラッシュ」は生き残ったけど、毎週月曜夜6時54分~8時54分にお引越し。
土曜夜の「シネマジャパン」も残りましたが(またまた「釣りバカ日誌」です!)、専らふきカエ洋画を放送してきたレギュラー枠は週1本のみに。いきなり宣告されたもんだから、4月以降にのんびりラインアップしようと思っていた作品群を、前倒しで放送しまくる羽目になったわけです。
(どうしてこういうことになったのかは、BSテレ東の4月のタイムテーブルを見れば一目瞭然です)
ここ数年続けてきた「水曜映画館」と「シネマクラッシュ」の二本立ては、担当者にとっては絶妙な枠でした。
計4時間の枠を活用して長い映画もラインアップできるし、その長尺作品とのセットで短い映画もかけられる。
ゴールデンタイムど真ん中の「シネマクラッシュ」ではあまり冒険はできないが(したけどね!)、「水曜映画館」では、マカロニウエスタンからおバカコメディまで、様々なタイプの作品を並べて視聴者の反応を試すことができた。一見遊んでるみたいなラインアップでも(遊んでたけどね!)、そんな中から意外なヒット作が生まれるかもしれないし。
でも4月からは、ごく普通に2時間一本勝負。映画番組として、もう王道を行くしかない。
というわけで、4月のシネマクラッシュ(シネクラと呼んでね)は『ハムナプトラ』シリーズ。
5月は『ターミネーター』シリーズ。ね、わかりやすいっしょ?
でも、俺は懲りない性分だから。
こういう王道企画のスキマに、わかる人にはわかる、わからない人にも爪痕を残すような映画を散りばめられれば、と考えてます。
まず第1の爪痕は、4月26日(月)放送の『レモ/第1の挑戦』。
人気冒険小説「デストロイヤー」シリーズを映画化した1985年製作のスパイアクションだけど、これがキュートな映画でね!
何たって監督は「007」シリーズのガイ・ハミルトン、脚本は『私を愛したスパイ』『ムーンレイカー』のクリストファー・ウッドだから。007+『ベスト・キッド』(主演のフレッド・ウォードはダニエルというよりコブラ会みたいな面構えだが)って感じの、まさに珍品であります。
本編に負けず劣らず、「日曜洋画」版の吹き替えも実にユニーク。レモ(フレッド・ウォード)は、ふきカエ歴は少ない性格俳優・草野大悟さん。無双な師匠チュン(ジョエル・グレイ)は田村錦人さん。
制作当時の事情は知らないが、新ヒーローの誕生編で、ふきカエも新たなフィックスを生み出そうという気概でキャスティングに臨まれたのではないかと。
しかしレモに第2の挑戦はなく、草野さんは放送の2年後に51歳の若さで急逝(田村さんも2015年に鬼籍に)。哀しいなあ。
このふきカエはブルーレイにも収録されてるけど、今回はテレ東に残っていた音声素材とHD映像をミックス、満を持してお送りします。
月曜の夜、ウチお得意の「オヤジアクション」の1本を、肩の力を抜いてお楽しみください。
それにしても・・・今なお映画番組が視聴率の稼ぎ頭になっている民放BSでさえ、オトナの事情という名の下に、氷の刃で枠を斬り捨てていく。テレビふきカエも、いよいよヤバいかもしれないな。
応援お願いしますよ、皆さん! マジで!
[作品画像はAmazon.co.jpより]
※Amazonのページで紹介しているDVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合や既に廃盤となっている場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。