ダークボのふきカエ偏愛録

#52 期待に応えないコラム

ダークボのふきカエ偏愛録

やばい、ヤバい。「映画秘宝」読み始めたらつい夢中になっちゃって、ふきカエルの入稿を忘れてたよ。どーもすみません。
5月号(発売中)の特集は「平成の傑作映画100!」で、執筆陣が様々な切り口で平成ベストを選出するというもの。ベスト戦争映画(ふむふむ)、「沈黙」シリーズベスト5(狭いな)、平成血まみれ残酷描写(らしいな)、平成タレント吹替黒歴史・・・ん? ふざけた企画だな、書いたのはどこのどいつだ? えーと・・・「選・文○ダークボ」・・・何だとー!?

小芝居はこれくらいにして。
思いがけないご依頼を受け、憧れの「映画秘宝」さんに初寄稿させて頂きました。こうして「ふきカエル」さんに駄文を書き散らしてきたのがようやく認知されたようで。有難いことです。
ただ、提示されたお題は「平成タレント吹替黒歴史(仮)」。ははーん、あれとかあれとかアレとか、いわゆる平成の炎上物件をディスってほしいんだな。でも、原稿にも書きましたが、視聴者の心に深い傷を残す「タレント吹替」はそもそも昭和のテレビが始めたトレンドで、「洋画劇場」が一つ減り、二つ減りしていった平成には、その主戦場は劇場版・DVD版に移ったのです。
自分はあくまで「テレビふきカエ」の継承者ですから、劇場版の「タレント吹替」を語ってほしいのなら別の書き手にお願いします、とお返ししたところ、ではその違いを語ってください、と。そういうことなら、と書いてみたものの、800字程度というオーダーに対して2,000字超えしちまったもんで、編集さんの神ワザでバッサリカットされてしまいました。

字数制限のないふきカエルさんに甘えて、ここでフォローさせてもらいますね。
とにかく良いものを作りたい、というのは皆同じ。ただし劇場版は、ふきカエに起用された旬の有名人、人気タレントの顔出しPRで作品が認知され、観客が映画館に足を運んでくれれば、目的はひとまず達成。吹替自体は努めて原語版に沿った演出で制作されるのが普通で、日本人には意味不明なアメリカンジョークだって、オリジナルのまんま。
でもテレビ版は、つまらなければ番組の途中でも視聴者は逃げていくし、ザッピング中にたまたま目を留めた人には途中からでも楽しんでもらわなければならない。だからオリジナルを尊重しつつも、時にセリフや演技を盛ったりして、全編にわたってテレビ番組としての演出を施すのです。言わば「超訳」。
・・・みたいなことは、このコラムでは繰り返し書いてきたのでお分かり頂けると思いますが、「映画秘宝」の拙稿はこの辺について言葉足らずのまま、ハリウッドによるふきカエのオフィシャル1系統化を憂う「吹替版に自由を!」という強引な締めになっているので、読者は困惑されたかもしれません。俺もまだまだ素人ですなあ。

俺は、炎上物件とされる劇場版だって、ディスる気はさらさらありませんから。平成の最後にBSテレ東が『ウォンテッド』を新録したのも、テレビふきカエが存在しなかったから作っただけで。『プロメテウス』や『LIFE!』を新録されたザ・シネマさんだってそうでしょう。
要は、バリエーションがあればいいんですよ。観る人の気分次第で、それぞれ楽しんで頂ければ。オフィシャル1系統化が心配なのは、このバリエーションを認めないからです。これこそが「ふきカエ文化」のはずなのに。

ともあれ、オーダーに従ってセレクトした「タレント吹替」は辛うじて3本。でもその趣意は「黒歴史」とは真逆です。なのでタイトルは最後に「?」が付いて「平成タレント吹替黒歴史?」になりました。
期待に応えないコラムで申し訳ありませんが、ご興味のある方は「映画秘宝」5月号をご覧ください。

さて、「映画秘宝」の誌面でも告知させて頂きましたが、4月のBSテレ東「シネマクラッシュ」には超弩級企画が登場!
なぜか地上波でも未放送の『ホビット』三部作を、3週連続で無料テレビ初放送します。

ダークボのふきカエ偏愛録
4月03日(水)夜6時30分~
『ホビット 思いがけない冒険』
4月10日(水)夜6時45分~
『ホビット 竜に奪われた王国』
4月17日(水)夜7時00分~
『ホビット 決戦のゆくえ』
 

肝心のふきカエは・・・劇場版です。テレビ版作らんのかい! というオチでした。

ダークボのふきカエ偏愛録また、4月7日(日)夜7時~ にはシネマスペシャル 『大いなる西部』 を放送。
これを皮切りに、BSテレ東ではほぼ毎月、ウエスタンの名作をラインアップしていく予定です。こちらは往年のテレビふきカエでお送りしますので、どうぞお楽しみに。

 

[作品画像はAmazon.co.jpより]
※Amazonのページで紹介しているDVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合や既に廃盤となっている場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。