- 2018.2.1
- コラム・キングダム
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無双は終わらない。
2016年10月から1年半にわたってお送りしてきた、BSジャパンの〈イーストウッド無双!〉もいよいよ大詰め。
『夕陽のガンマン』(1965)で始まり、以降、作品の製作年順に律儀に放送して来ましたが、この時系列で最後に登場するのは、
2月21日(水)夜8時~の『人生の特等席』(2012) と、
2月28日(水)夜8時~の『ジャージー・ボーイズ』(2014) です。どちらも無料テレビ初放送!
俳優クリント・イーストウッドが、自らカメラの前に立つのは『グラン・トリノ』(2008)が最後かと思われてましたが、長年スタッフとして支えてくれたロバート・ロレンツの長編監督デビューのため、4年ぶりに“登板”したのが『人生の特等席』。今年88歳(米寿!)を迎える御大、おそらく最後の主演作でしょうね(…と思ってたらネット上には、次回作は監督兼主演との噂が…ホントかな?)。
以前の〈007連続放送〉では、最後の最後に『慰めの報酬』のふきカエ新録を果たした俺としては、〈イーストウッド無双!〉でも最後に「テレビふきカエ」を作ってみたかったんですが…
『人生の特等席』のDVD版でイーストウッドの声をアテたのは、納谷六朗さんでした。山田康雄さん亡き後、「銭形警部」こと納谷悟朗さんがアテたこともある御大を、弟の六朗さんが。意外なキャスティングですが、メジャーリーグの老スカウトマンというこの映画のキャラにはぴったりでした。なのに納谷六朗さんはDVD発売の翌年、御大がこの映画に主演した時と同じ82歳でお亡くなりに… 訃報を聞いた時の寂しさを思い出すと、別の声で新録する気にはなれませんでした。
というわけで、今回の放送はあえてDVD版、納谷六朗さんのイーストウッドで放送します。
ちなみに『人生の特等席』で御大が演じた老スカウトマンは、いわゆる「セイバーメトリクス」(データ解析による選手評価)の真逆を行く人物ですが、逆にセイバーメトリクスによって弱小チームを再興させた監督をブラッド・ピットが演じたのが『マネーボール』(2011)。実はこの映画も、BSジャパンで近日放送予定です。併せてお楽しみ頂きたく。
続いて『ジャージー・ボーイズ』は、「フランキー・ヴァリとフォー・シーズンズ」のサクセスストーリーを描いたブロードウェイミュージカルを、音楽にも造詣の深いイーストウッド監督が映画化。マフィアのボス(クリストファー・ウォーケン)との交流のくだりなど、もしマーティン・スコセッシ監督が撮ったら何十人も死人が出てたんじゃないか、と思えるところもあったりしますが、そこは御大、じんわり胸が熱くなる、人生の応援歌に仕立ててくれました。
「シェリー」「君の瞳に恋してる」など大ヒットナンバーてんこもりで、ミュージカルシーンは原音+字幕になりますから、こちらのふきカエは特に抵抗なくDVD版で放送します。ちなみにクリストファー・ウォーケンをアテた立川三貴さんは、このところウォーケンがフィックスになりつつありますね。
イーストウッド監督は、その後も『アメリカン・スナイパー』(2014)、『ハドソン川の奇跡』(2016)と新作を撮り続け、2018年もいつの間にか『15時17分、パリ行き』(3/1日本公開)を完成。恐るべき88歳!
その無双ぶりには終わりがありませんが、わが番組は、あえてとっておきの1本でフィナーレを飾ります。
3月放送予定の『アウトロー』(1976)。
南北戦争後の時代、妻子を殺され復讐に燃える男のさすらいを描いた、イーストウッド監督・主演作。1年半かけて検証してきた、クリント・イーストウッドのすべてが凝縮したような、御大自身もお気に入りの1本と語る作品。偉大なる映画人への敬意をこめて、最後にお送りします。
イーストウッドのふきカエは、もちろん山田康雄さん。
これをもって、大企画〈イーストウッド無双!〉は終了です。最後までお付き合いよろしく。
これほど長期にわたって企画展開することはもう無いと思いますが、今後もイーストウッド作品は、折にふれて放送して行こうかと。その際は、ふきカエ新録企画やりたいなあ。
[作品画像はAmazon.co.jpより]
※Amazonのページで紹介しているDVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合や既に廃盤となっている場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。