- 2017.8.1
- コラム・キングダム
- ダークボの吹替え偏愛録
テレビふきカエの誕生を祝う!
昨年、BSジャパンは、何とか頑張って3本の新録ふきカエを誕生させましたが、年末の『プリズナーズ』を最後に、今年はまだゼロ。とうぶん予定もなし。
しかたないんです、ウチの番組はちょっと懐かしい映画が中心だし、往年の名ふきカエを楽しんで頂くのが肝心なわけで。でも〈007連続放送〉もシメは『慰めの報酬』の新録だったな…
悶々としているうちに、驚くべきニュースが。何と日本テレビ「金曜ロードSHOW!」さんが、『ジュラシック・ワールド』の初放送で、ふきカエ新録されたそうな!
『オペラ座の怪人』(劇団四季総出演でびっくりしたなあ)以来、実に6年半ぶりとか。地上波局によるふきカエ新録としても、テレビ朝日さんの『バイオハザードV』以来では?(その後ありましたっけ?)
このご時世、まさに快挙だと思うのですが… SNS等では早くも、山本耕史さん、仲間由紀恵さんによるいわゆる「タレント吹き替え」にネガティブな声がちらほら。劇場版も玉木宏さん、木村佳乃さん(他に松岡茉優さんやオリラジの二人も)という顔ぶれでしたから、プロ声優による王道ふきカエで観たかった、ということでしょうか。
そもそも、テレビ局は何のためにふきカエを作るのか。それは、映画を「番組化」するためです。
各局でふきカエが頻繁に作られ、その内容も自由度が高かった時代には、セリフを大胆にアレンジしたり、放送時間の制約を逆手にとった編集などが、作り手の腕の見せ所でした。
が、『ジュラシック・ワールド』のような作品は、おそらく本編カットは許されず、セリフも自由にはいじれないはず。かと言って、DVDや配信などオンデマンドで観る手段がたくさんある中での地上波初放送ですから、あえてリアルタイムで観て頂くためには、何もしないわけにはいきません。そこで、番組宣伝に一役も二役も買ってくれるであろう人気タレントの起用は、「番組化」の重要な方法論の一つでしょう(もちろん、ふきカエ自体もしっかり作ってもらわなくちゃなりませんが)。
意外に思われるかもしれませんが、俺は同業者として、テレビ局によるこういうアプローチ自体は応援します。とにかく、新たな「テレビふきカエ」が産まれることが嬉しいじゃないですか。
まずは観てみましょうよ。ね?
ここで必殺ハシゴ外し!
『ジュラシック・ワールド』が放送される8月、BSジャパン「シネマクラッシュ」がお送りするクリント・イーストウッド作品のうち2本は、テレビふきカエではなく、ソフト版を使用します。
16日(水)放送の『ザ・シークレット・サービス』と、23日(水)放送の『パーフェクト ワールド』。
あえてソフト版を選択した理由は、もちろんイーストウッドの声が山田康雄さんだから。
それぞれ野沢那智さん、黒沢年雄(当時は「年男」)さんが御大をアテたテレビ版も捨て難いのですが(特に『パーフェクト~』は「木曜洋画」オリジナルだし)、これも〈イーストウッド無双!〉という「番組化」の演出だとご理解ください。
そして9月には、ある難物(大ヒット作ですよ)が待機中。
テレビ版か、ソフト版か…まだ決めてません。うーん、悩ましい。
[作品画像はAmazon.co.jpより]
※Amazonのページで紹介しているビデオテープ・DVD・ブルーレイ等のソフトは、日本語吹替え音声を収録していなかったり、このページで紹介しているものとは異なるバージョンの日本語吹替え音声を収録している場合や既に廃盤となっている場合もありますので、ご購入等の際はご注意ください。